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法律の改正に注意・・・・!       相模大野の司法書士からのアドバイス

2017 / 10 / 25 / 水

 

 

最新の条文を確認することが大事ですね・・・・・・・

 

ある上場会社が、株式併合の手続きをするため、10日ほど前にそのお知らせをリリースしておりました。

 

株式併合とは、複数の株式を少ない株式にする手続きのことです。今回の会社の場合は、5株につき1株の割合で併合するための決議を来月予定しております。

 

たとえば、500株を所有している株主は、株式併合の効力発生後は100株の所有となります。また、4株しか所有していない株主は1株に満たない0.8株の端数株式となり、会社法の規定によって一括して処分され、その処分代金が端株の割合に応じて分配されることとなり、株主としての地位は喪失してしまいます。

 

現在、証券取引所では上場株式の売買単位を100株に統一することを目指しており、この会社も証券取引所が望ましいとしている投資単位の水準にするための手法として株式併合(あわせて単元株式数の変更も)を活用しております。

 

この会社の株式併合前の発行済株式総数は、4,000,000株となっており、株式併合の効力が発生すると5分の1の800,000株となります。

 

株式が5分の1になるとなんか損した感じになりますが、逆に会社の純資産額は1株あたり5倍となるので株式併合の前後で資産価値に変更はありません。

 


【例】

会社の純資産が1000万円で、発行済株式が1000株の場合、1株あたりの純資産額は、1000万円÷1000株=1万円

5株につき1株の割合で併合すると、発行済株式は1000株から200株へ減少するが、1株あたりの純資産額は、1000万円÷200株=5万円

 

よって、株式併合前に5株を所有している株主は、1株あたりの純資産額10000円×5株で5万円。

 

株式併合後は1株の所有となるが、1株あたりの純資産額が5万円なので同じ


 

この会社はあわせて定款変更の一部変更の決議を予定しておりました。それは、会社が発行できる株式の枠である、「発行可能株式総数」を株式併合の割合に応じて5分の1にする目的との理由が発表されておりました。

 

具体的には、現行定款で、19,562,000株が発行可能株式総数となっているところ、変更後の発行可能株式総数を5分の1である、3,912,400株に変更を行う予定とのことでした。

 

ところが、この変更は会社法の規定に反する変更となります。というのも、平成27年5月1日に施行された会社法の改正で、「株式併合の際、発行可能株式総数は株式併合の効力発生日における発行済株式総数の4倍を超えることができない」という規定が新設されたからです。

 

上記で記載したとおり、この会社の株式併合の効力発生日における発行済株式総数は800,000株であり、その4倍の3,200,000株を超えることができず、3,912,400株への変更を予定していたことについての修正のお知らせを本日出しておりました。

 

上場会社で、法務に精通している方や関係者がチェックしているにもかかわらず、数年前の改正を見落としてしまうことがあるんですね。

 

それにしても、当該会社は決議に前に気づいたのが幸いです。コストをかけて数百人いる株主に招集通知を発送し、会場を設定して株主総会で決議をし、いざ手続きを申請してはじめて気づいた!なんてことになったら・・・・。

 

他人事ながら、想像するだけでも冷や汗で出てきます。

 

今までの経験のみに頼ることなく、新しい情報に接することや条文を丁寧にあたって必ず確認することの大切さを改めて認識した次第です。

 

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