神奈川県で事業承継・空き家問題・相続手続き・登記・遺言書作成でお困りの方は中村好孝司法書士事務所へ

中村好孝司法書士事務所

ご相談ダイヤル

042-740-9660

平日受付 8:30 ~ 17:30

ご相談は電話かメールで!

所長ブログ

TOP >  相続と成年後見 その1 相模大野の司法書士からのアドバイス

相続と成年後見 その1 相模大野の司法書士からのアドバイス

2017 / 03 / 12 / 日

昨日、今日と相続と成年後見がからむご相談がありました。

相続が発生した場合、遺言がある場合は遺言書で相続手続きを行い、法定相続分と異なる相続財産の分配について相続人全員が合意した場合は、遺産分割協議書を作成して相続手続きを行うことになります。

相続人全員の判断能力がしっかりされている場合は問題ないのですが、高齢の方がお亡くなりになった場合は、その相続人も高齢者であることが多いため、認知症、脳梗塞などで判断能力に問題がある場合があります。このような状況では、相続の手続きが出来ない場合があります。

 

それでは、相続人の中に判断能力を喪失されてしまった方がいる場合、どのように手続きをすすめていけばいいのでしょうか?


例えば、お父様がお亡くなりになられて、お母様と長男、長女の3人が相続人だとします。お母様が認知症で、すでに老人ホームに入られている場合、判断能力がないと判断されると相続手続きを進めることができません。私どももそのような場合は、施設までお伺いしてご本人にお会いして意思確認を行うことになります。相続に関するご説明を差し上げて、ご理解がされているなら問題ありませんが、寝たきりで会話が出来なかったり、会話が成り立たない場合には残念ながら相続手続きはおこなうことができません。

 

判断能力が喪失されていると判断した場合は、長男や長女に申立人となってもらい、成年後見の申立を家庭裁判所に行い、お母様の後見人を選任してもらう手続きをしていただくことになります。

(なお、相続税の申告の必要がなく、また、急いで預金を解約するなどの相続手続きを行う必要もなく、主治医からお母様の余命について事前にお話があった場合などは、お母様に万一があった場合に手続きを行う方法をおすすめすることもあります。3ケ月程度かかる成年後見の手続きを行っている途中でお母様がお亡くなりになる場合があったり、相続手続きの後も成年後見人として職務を行うことが負担に思われる方もいらっしゃるからです)

 

もし、長男を後見人候補者として後見開始の申立てを行い、後見人として選任されると、長男がお母様の代理人となって、相続手続きを行うことになります。

 

例えば、お父様が事業を行っていて多額な借入金があり、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が明らかに多い場合は、3ケ月以内にお母様に代わって、相続放棄の手続きを家庭裁判所で行うことを検討します。相続放棄の手続きを行わないと、お父様の借金がお母様にも引き継がれてしまうからです。

なお、成年後見人が選任されるまでに平均して3ケ月程度の期間がかかるので、相続放棄の手続きが間に合わない・・とお困りになられている方もいらっしゃると思います。

そのような場合でも相続放棄の手続きをあきらめる必要はありません。というのも民法の917条で

「相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、第九百十五条第一項の期間は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算する。」

 

という規定があるからです。つまり、成年後見人に長男が選任されてから、3ケ月の期間が進行していきますので、成年後見の手続きと並行して相続放棄の手続きの準備をすれば間に合うことになります。ただし、ここで注意が必要なのはこの民法917条の規定が適用されるのは、お母様が「後見」の場合だということです。

 

成年後見制度は、法定後見と任意後見の2つの制度があります。法定後見はすでに判断能力に問題がある場合で、任意後見は将来判断能力に問題が起きた場合に備える制度です。

今回のご相談の場合、すでに認知症で判断能力がない状況ですので、法定後見制度を利用することになります。

法定後見は後見・保佐・補助に分かれており、後見が一番重いケースとなります。後見の場合は民法917条が適用されるので、後見人が選任されてから相続放棄の手続きを行うことが出来ますが、保佐・補助相当と家庭裁判所が判断した場合には、原則どおり相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内相続放棄をする必要がありますので、注意が必要です。

 

また、後見人に選任された長男も相続放棄をする場合は、長男自身の相続放棄はお母様を代理して行う相続放棄よりも先にまたは同時に行う必要があります。これは利益相反といって、お母様の後見人という立場とお父様の相続人という立場を兼ねており、自分が有利になるように後見人としてお母様の相続放棄をして、自分の相続持分を増やすこともできる立場にあるために利益が相反するからです。

 

相続財産がプラスの場合だけでなく、今回のようにマイナスの場合でも、形式的に利益相反に該当するため、お母様の相続放棄より先や同時に行わないときは、さらに特別代理人といって、相続人ではない第三者を選任する手間が生じてしまうので、注意が必要です。

 

明日は、同様の場合で相続財産がプラスの場合の注意点をお伝えしたいと思います。

 


 

事業承継・相続・登記全般相談可能神奈川全域相談可能

042-740-9660

平日受付 8:30 ~ 17:30
メール無料相談はここをクリック 24時間受付