本日の日経金融経済面に、ある日本企業が開発したブロックチェーンの技術を使って、カンボジアの中央銀行が新しい決済手段を開発する旨の記事がありました。
本来、ブロックチェーンは中央集権的な管理者を置かずに、インターネット上の参加者が取引を共有監視して、改ざんされるのを防止することで、正しい情報を蓄積していく仕組みです。今回のシステムは、中央集権的な立場にあるカンボジアの中央銀行がその仕組みを利用しようとしていることと、インターネット上の参加者がビットコインのように、誰でも参加できるのでなく、特定の人しか取引の監視作業に参加できないのが特徴です。
ビットコインのように、誰でも参加できるのがバプリック型ブロックチェーン、今回のように特定の人しか参加できないのがプライベート型ブロックチェーンと呼ばれています。ちなみに、パブリック型には管理者が存在しませんが、プライベート型には管理者が存在することになります。管理者がいるということは、本来のブロックチェーンが想定している管理者を置かないということ、つまり中央集権的な管理者の影響を受けないというメリットがない仕組みともいえます。なお、プライベート型のブロックチェーンシステムは、パブリック型に比べて1000倍程度の処理能力があるとのことです。
パブリック型ブロックチェーンが仮想通貨となり、プライベート型ブロックチェーンが中央銀行によるデジタル通貨の技術として利用されることになり、仮想通貨VSデジタル通貨のどちらが主流になっていくのか、お金のペーパーレス化を見据えて覇権争いをしている過程なのかな?と個人的には感じております。
今後、いろんな形態のブロックチェーンシステムを利用し、金融分野だけでなく、不動産登記手続などの行政手続き分野にも応用されてきそうです。ちなみに、エストニアでは、既に金融分野以外にも実用化がされているようです。
経済産業省の資料によりますと、インターネット・バンキングの普及率は99.8%、電子納税の普及率は98%となっており、申告データは自動記入されるため税理士を介さずに税務申告ができる仕組みとなっています。
医療の分野にも導入されていて、薬のオンライン処方の普及率が99%で、診療記録もブロックチェーンで管理されているようです。行政サービスのデジタル・ファーストが徹底されています。
行政手続きもデジタル化されていく中で、専門家に期待されていることも当然変化してくると思います。自分たちの職域を守ることにだけ目を向けていると、大きな何かを失う気がします。このような記事を読むたびに、もっとお客様の視点でお客様の求めているものを提供できなければ、私たちもデジタル化の流れに飲み込まれてしまう、そんなことを感じました!