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株主総会は面倒だとお考えの方へ・・・相模大野の司法書士からのアドバイス

2017 / 02 / 28 / 火

中小企業の株式会社で実際に株主総会を開催している会社はどれだけあるでしょうか?今までの実務の慣例からすると、実際に開催することなく議事録だけ作成して、済ませてしまう会社が大半でないかと思います。しかし、法律にしたがった手続きを行わないことで、後々大きなトラブルとなることがあります。

 

「そもそも株主は身内だけだから・・・」

「株の大半を社長が所有しているから決議前から結果はわかっている」

「今までも問題になったことはないのにいまさら・・」

「中小企業で株主総会を開催する余裕などない!」

など、株主総会を開催しない理由はいろいろ考えられます。

 

しかしながら、身内だから揉めないと思っていたのに、経営方針の違いから、仲の良い親子が激しく対立することになってしまった例は上場企業でも実際起きています。また、社長が株の大半を所有しているので株主総会を開催しなかったり、今まで何もなかったので問題視していなかったところ、株主総会の決議の不存在の訴えを提起されたりと、今は問題がなくても何かがきっかけとなって、後日トラブルとなって問題が顕在化することがあります。

 

株主総会に費用をかけずかつリスクを最小限にする方法はないのでしょうか?

少人数の株主の会社で、株主総会の手続きの煩雑さを最小限にする方法をお伝えしたいと思います。

 

1.招集手続きに関して


株主総会を開催するには、株主総会が開催される日の一定期間前までに、株主に対して招集通知を出す必要があります。一定期間とは、下記のとおりです。

公開会社・・・・2週間

非公開会社・・・1週間(ただし、取締役会非設置会社は定款で短縮可能)

 

ちなみに、非公開会社(株式の譲渡について株式会社の承認を要する旨の定款の定めがある会社)で取締役会をおいていない会社は、書面でなく口頭や電話でも招集の通知を行うことができます。

会社法では、書面投票や電子投票制度を利用する場合、書面でする必要があると定められていますが、そもそもそのような会社がそういった制度を利用することは少ないと思われますので、このような例外を除いて、書面での通知が面倒な場合は、口頭での通知をすることで、適法な手続きとなります。

 

また、株主全員が招集手続きの省略に同意した場合には、そもそも招集の手続きをすることなく、株主総会を開催することができます。「口頭での通知では、後で言った言わないで揉めるので心配」とか「株主が少人数でいつも顔をつきあわせている関係」であれば、招集手続きの同意を書面でもらっておけば、煩雑な手続きを行うことなく、後々のトラブル防止にもつながります。

ご注意いただきたいのは、上記の場合は、招集手続きを省略しただけで、株主総会は実際に開催して決議を行う必要があります。

 

2.書面決議について


次に、招集手続きだけではなく、株主総会の決議自体を省略する方法があります。これは、書面決議と呼ばれるもので、取締役又は株主が決議事項を提案して、株主の全員が書面で同意した場合は、株主総会を実際に開催していなくても、株主総会の決議があったとみなすことができます。

これは、上記の招集手続きの省略の場合の同意書と異なり、10年間会社に保管義務があり、一定の要件を記載した書面決議に関する議事録も作成する必要があるので注意してください。

なお、書面決議は、株主全員の同意が到達したときに決議が成立することになりますので、同意書を郵送でやりとりする際には、返送する期限を設定しておくといいと思います。1人でも戻ってこない場合は書面決議が成立しませんが、全員の協力が得られる場合には有効な方法だと思います。特に100%子会社の株主総会では、返送されないリスクもありませんし、株主が1社しかありませんので、実務上よく利用されています。

 

3.全員出席について


招集手続きをしていなかったり、株主総会を開催することを決めていなかったとしても、結果的に株主全員が株主総会に出席すれば、株主総会の決議が有効となることが判例で認められています。

これは、招集手続の目的が、

・株主に出席の機会を与えること

・決議のための準備する機会を与えること

が趣旨とされているので、株主全員がその開催に同意して出席していれば、その趣旨に反していないのと考えられているからです。1.の招集手続きの省略では、招集手続きの同意は株主全員からもらう必要がありますが、株主総会の決議は全員出席でなくても開催できます。一方で、この3.の場合は、株主全員が出席しなければ、手続きの不備が充足されず適法な株主総会ではなくなってしまいますので、その違いにお気をつけください。

 

最近気をつけなければならないケースとして、大株主に相続が発生した場合があげられます。相続が発生すると、その株式は相続人に相続されます。相続手続きでその株式の帰属が決定している場合は問題ないのですが、株式の帰属について争いがある時に、相続人の1人(例えば後継者)がすべての議決権を行使することは適法ではありませんし、私どももそのような事情を知って手続きを行った場合は、懲戒の対象となるリスクがあります。

相続人に争いがない場合で、相続手続きの前に株主総会を開催する必要が迫られた場合には、株式が相続人全員による準共有となっていることから、その中の1人権利行使者と定めて会社に通知することで、株主として権利行使をすることが可能となりますので、大株主が社長も兼ねていた場合で、相続財産の協議がまだ成立していないけれども、早急に株主総会で後継者を選任する必要があるときは、この方法を利用することができます。

 

私どもの事務所でも、株式に関するトラブルの相談が増えてきております。事業承継の際も、名義株の問題も含め、株式の問題は避けてとおれません。今一度、株式や株主総会についてお考えになる機会になれば幸いです。

 


 

 

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