ここ数年新聞を読んでいると、AI、ビッグデータ、IOT,自動運転、フィンテック、ブロックチェーン等、私たちの生活や仕事のあり方を、根底から覆すような技術について、記事が取りあげられております。
ちなみに、私がこの業界に入った20年前は、完全にアナログの時代でした。
不動産の権利関係を調べるため、法務局に足を運び、1時間近く待って、職員が登記簿から登記用紙を抜き出しコピーした、登記簿謄本を受けとる日々・・・・。所有権移転等の名義書換の登記申請も、不動産の管轄の法務局まで出向く必要があり、一日で法務局を7箇所も回ったことなどもありました。
勤務してから数年したころ、IT化の話が出たあと、全国の登記簿のデータが電子化され、全国どこでも、またオフィスでもそれらが取得できるようになり、出向く必要があった登記の申請も、オフィスのパソコンから、オンライン申請することが当たり前の時代になっていきました。
勤務した当初は、デジタル化やIT化は縁のない話だと思っておりました。しかし、あっという間に業務に関する環境が変化していき、それらに対応することが求められてきました。
今後も、さらなる変化に対応して必要がありそうです・・・。
そこで、これらの技術について、感じること、対応すべきこと、興味があること、基礎知識など、シリーズ化して、お伝えしたいと思います。
今日日経新聞に、私たちの購買情報やSNS等のビッグデータを、情報銀行が一括管理し、顧客獲得や商品開発に生かすシステムを、政府が検討しているという記事がありました。
このシステムを利用すると、自分が好みの商品を、私たち自身で探すことなく、企業が情報提供してくれますし、企業は情報提供した商品が、高確率で売れるので、双方にメリットがあるとのことです。
そう考えてみると、私も業務に関する書籍や個人的な書籍はすべてアマゾンで購入しております。昔は専門書を買うために、新宿の紀伊国屋まで、何度も足を運んだものです。
今では、オフィスで本のタイトルを検索し、クリックをするだけで、翌日にはオフィスに届けてくれますし、カスタマレジューで書籍の評価もわかるので、非常に便利になりました。
アマゾンでは、すでに、購入履歴を蓄積させ、それらを利用してオススメの本に関する情報を提供していますね。
そのオススメが、私の心をくすぐるというか、なんというか、
「そうそう、そういう本が欲しかったんだよね。」と思うものばかりで、見た瞬間に、つい、購入ボタンをクリックしてしまいます・・。
気がつけば、関係のない本まで、数冊購入してしまうので、本を読まなければならないプレッシャーと、いつも戦っております・・・。
記事では、情報銀行が創設された場合の、個人情報の漏洩が心配されておりました。
私は、どちらかというと、ビッグデータとAIを利用した情報提供をすることによって、私たちが商品を購入したり、サービスの提供をうけようとする過程における意思決定が、それらによって、誘導されてしまうこと、つまり、「本当に自分の意思で行われたものなのか・・・・」という点について、一抹の不安を感じます。
たとえば、私がアマゾンで書籍を購入した件もそうです。
確かに、自分の好みの書籍ですし、自分で購入ボタンをクリックしていることには間違いはありません。ただ、果たして本当にそれが必要だったのか、本当に自分はそれが欲しかったのか・・
書籍が積み重なっていくのを見て、ふと感じることがあります。
自分の嗜好などが、すべてビッグデータで吸い上げられ、それをAIが判断し、提供された情報を、私たちが拒否するというのは、なかなか難しいと思います。
技術の進歩が、企業の収益だけを優先し、私たち消費者が不利益を被ることがないよう、情報銀行の創設にあたっては、消費者保護の手当てもしっかりしてもらいたいと感じますし、私たちも、便利の裏側に潜む危険を認識し、技術の恩恵をうける必要があると感じた記事でした。