お客様がご自身で相続手続をされる際に大変なのは
①戸籍を取得すること
②戸籍の内容を確認すること
③各手続きをする場所に戸籍一式を提出すること
ではないかと思います。
特に戸籍の収集は、普段戸籍をご覧になっていらっしゃらなければ、内容を理解するのも一苦労です。基本的に、相続手続きに必要な戸籍は、お亡くなりになった方の出生から死亡までのすべての戸籍と相続人全員の戸籍が必要となります。相続人の戸籍は現在の本籍地で取得すればいいので、本籍地が判明している場合はそんなに手間はかかりませんが、被相続人の戸籍は、お亡くなりになった最後の戸籍から出生まで遡って取得していくことになります。
本籍地が出生から同じところにある場合は、本籍地を管轄する役所ですべての戸籍が取得できますが、転籍をしている場合は数箇所の役所で戸籍を取得することとなり、また、昔の戸籍に記載してある字が読みにくいこともあり、相当な負担となります。
さらに、
不動産の相続手続きは法務局で・・・・
預金の相続手続きは銀行で・・・・
株式の相続手続きは証券会社で・・・・
保険金の支払い手続きは保険会社で・・・・
など、手続きごとに戸籍を確認してもらう必要があるので、確認する方と手続きをする方の双方が時間のロスとなり、相続手続きに時間がかかる原因となっておりました。そのような負担を感じている方が、不動産の相続手続きを放置してしまうことで、所有者が不明となったり空家問題につながってしまい、公共工事の際や震災の復興の際の障害となることもありました。
そこで、そのようなことを改善するため、昨日の閣議で、相続手続きを簡素化する「法定相続情報証明制度」を5月下旬から開始すると発表されました。
【東京法務局HPより引用】
この制度によると、①まずは戸籍を収集し、②法定相続人の家系図を作成し、③法務局に申し出をします。申し出された内容について、登記官が確認し間違えがなければ、法定相続人の関係について下記のような証明書を発行してくれます。
【東京法務局HPより引用】
つまり、今まで戸籍関係書類一式を各手続きに提出して、戸籍の内容について読み込んでもらい、相続人の関係を証明してから手続きをしていたことが、この証明書1枚さえ持っていけば、そのような作業をすることなく直ちに手続きが出来ることになります。
今まで戸籍の読み込みにかかっていた時間を短縮することができますので、手続きもスムーズとなり、お客様の負担も楽となります。また、現在、戸籍も電子化されていますので、将来的には戸籍収集が自動で出来るシステムが出来る・・・・なんて時代がくるかもしれませんね。
私たちもこの制度を利用し、一層の業務効率をはかることで、手続きに要していた時間をお客様へのコンサルの時間に配分していけたらと思っております。まずは、制度がはじまったら実際に利用して、この制度のメリットデメリットについて考えてみたいと思います。