今日は自分への戒めとして、提案書を作成する際に注意すべきポイントについて考えてみたいと思います。
私たちの業務は、契約を成立する前の段階から関わることは少なく、どちらかというと、すでに契約等が成立し、その法的な効果の結果を記録するための登記という手続きのために書類を作成し、法務局等に申請します。
例えば、不動産の売却問題を抱えている方は、不動産会社が課題を解決し、売買契約が成立した後に所有権移転手続きを司法書士が担当することになります。また、資金繰りで悩んでいる方は、金融機関が課題を解決し、お金を借りるための金銭消費貸借契約が成立した後、抵当権設定手続きを司法書士が担当します。
契約行為の前の段階、つまり、お客様のニーズや課題について、私たちが窓口になり、課題解決のためにどうするのかを考え、お客様の意向にそった選択肢を提案するようなことはあまりなかったのではないかと思います。
法務局へ手続きをするための書類で重要なことは、とにかく法律で規定されている要件を満たした書類を作成すること。これにつきます。要件を満たしてなければ、手続きが完了しませんので。
一方、課題解決のための提案書は手続きの書類と異なり、お客様のニーズにフォーカスして、現状の問題点だけでなく潜在的な問題も抽出し、お客様の意向に沿った提案をしていくことが重要となります。
提案書は、手続きである申請書と異なり、様式も内容も提案方法も規定されているわけでなく、完全なオーダーメイドなので、提案者の技量、経験値、お客様との距離感によって、千差万別です。
自分では完璧だと思ってつくった提案書も、よく見ると専門用語だらけの提案書になっていたり、年配の方への提案書なのに細かい文字でびっしりと書かれていたり、だらだら文章で結論がない・・・・など、内容をお客様に熟読してもらう前にダメだしされる提案書を作成してしまっていることがあります。
また、提案書を作成する際は、お客様のニーズを満たすことを第一に考える必要があります。気をつけなければならないことは、提案書を作成すること自体が目的となってしまっていること、つまり提案書の作成が自己満足で終わっていないかに注意をする必要があります。
自分のフィルターだけを通して物事を検討するのでなく、相手のフィルターを意識して作成しなければ、相手にとって全く意味のないものになってしまいます。痒くないところを一生懸命掻いているような状態・・・・・・は避けなければなりません。
そのためには、まずはお客様のニーズに良く耳を傾け、言葉から発せられたことを受けとめさせていただくのは当然のこととして、お客様がお腹の中に隠されているお気持ちやご自身も気づかれていないことにまでフォーカスし、コンシェルジュのように課題解決したいと思います。