最近、終活やエンディングノートなど、ご自身がお亡くなりになった時に備えて、あらかじめ意思表示をされる方が増えてきております。当事務所でもここ数年で遺言書作成のお手伝いをする機会が増えてきました。本当に遺言書って必要なのでしょうか?
3つのポイントにしぼって考えていきたいと思います。
1.遺言書を書かないとどうなりますか?
遺言をしていない場合は、相続財産は民法で決められている相続分の割合によって相続(法定相続)するか、相続人全員で話し合いをして分配方法を決める(遺産分割協議)必要があります。遺言書のアドバイスをさせていただいた際に「自分の家族は仲が良いからまったく関係ないよ。」とか「相続財産は自宅しかないからそんな必要はないよ。」と大半の方はおっしゃいます。もちろん、ご家族を信頼されることも大事だと思いますが、経験上、ご家族のキーマンがお亡くなりになられた後に家族関係がおかしくなるケースや、配偶者などの第三者が口出しすることでご家族の関係が悪くなるということもあります。さらに、突然のリストラなどによって相続財産をあてにせざるを得ない状況になってしまい、当初の約束と異なる権利主張がされることもあります。今は大丈夫だから・・・・でなく、将来の環境変化も想定してみましょう。
2.遺言書を書く必要があるケースは?
遺言書を絶対に書いておく必要があるのは、お子様がいないご夫婦です。当事務所にご相談に来られたケースでも、「遺言書さえあれば!」と思ったことが何度あったでしょうか!
それではなぜ遺言が必要なのでしょうか?それは、上記でもご説明しましたが、遺言書がないと法律どおりの相続分で相続するか、相続人全員の合意が必要となってしまうからです。
例えば、お子様がいないご主人がお亡くなりになられたケースを想定してみましょう。
この場合、相続人は奥様だけではなく、ご主人のご両親(ご両親がお亡くなりの場合はご主人のご兄弟)も相続人となります。
せっかくご夫婦で共働きして建てたご自宅も、ご主人のご両親又はご兄弟が相続権を主張すると奥様が1人で相続することが出来ず、相続分に見合うお金を支払わなければなりません。最悪の場合はご自宅を売却し、売却代金の中からお金を支払う事態が生じてしまい、愛する配偶者に精神的にも金銭的にも多大な負担がかかってしまいます。
“うちの親族に限って大丈夫”“もう少ししてから・・・”と考えず、今すぐにでも遺言書を作成することをおすすめします。
3.遺言書ってどう書けばよいのですか?
遺言書は主に、自分で全文を手書きする「自筆証書遺言」と公証役場の公証人が作成する「公正証書遺言」があります。
自筆証書遺言は、全文をパソコンや録音でなく自分で記載して、日付と署名押印すれば完成します。つまり、紙とペンと印鑑があれば完成しますので、費用もかかりません。
インターネットに文例や作成手順も豊富にありますので、参考にすれば気軽に作成することが出来ると思います。ただ、自筆証書遺言を専門家の支援がなく作成した場合、法的な要件を落としてしまい、せっかくの遺言書を利用することが出来なかったケースもありましたので注意が必要です。また、自筆証書遺言の場合は、紛失、改ざん、相続人に発見されない等のリスクもあり、せっかくの最後の意思が思いどおりに実行されないこともあります。
そこで、おすすめなのが公証役場で作成する公正証書遺言です。証人2名が必要なことや、作成費用がかかりますが、遺言書が無効にならないようにしっかりと点検して作成してくれます。また、原本を公証役場で保管してくれるので、万一紛失した場合でも再度謄本を交付してくれるので安心です。
遺言書は一度作成して終わりではなく、心境の変化で何度も書き直しをすることができます。また、今は費用をかけたくないので自筆証書遺言を作成したいという方がいらっしゃいましたら、作成した文案を点検させていただくこともできます。
公正証書作成をする場合の文案や証人2名の手配も当事務所でお手伝い出来ますので、ご不安なことがありましたらまずはご相談ください。
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