以前私どもで手続きをさせていただいたお客様が、突然事務所に来られたときのお話です。
アポがなかったので、どういう相談か見当がつかなかったのですが、お客様を応接室にご案内したところ。深刻な表情で一通の郵便を手にされていらっしゃいました。
早速お話をお伺いしたところ、「昨日、最高裁判所から手紙が届いて、びっくりして一睡もすることが出来ず、食べ物も喉を通らないので、お約束もしないでとにかく駆けつけました!」とのこと。
運悪く、テレビで訴訟詐欺の番組をやっていたらしく、訴訟を利用した詐欺で被害にあったという内容をちょうど見られたことが、不安に拍車をかけていたようです。
封筒を拝見したところ、確かに最高裁判所からの郵便でしたが、裁判員制度の文字があったので、「裁判員候補者名簿に記載されたお知らせかな?」との予感がしました。しかしながら、私も現物を見たことがなかったので、お客様にハサミをお渡しして、封筒を開封してもらって中を確認してもらうことにしました。
【最高裁判所HPより】
封を開けたところ、やはり裁判員裁判に関する郵便でした。
その旨をお客様にお伝えしたところ、「身体の調子も悪いし、この年で裁判員にはなりたくない」とおっしゃっており、お年をお伺いしたところ、70歳を超えていらっしゃったので、裁判員の名簿搭載を拒否できる事由に該当していることがわかりました。お客様に調査票へその旨を記入してもらいました。
記入が終わったその場で封をし、そのままポストに投函できる状態にして差し上げたところ、安堵の表情をされ、何度も御礼をおっしゃって帰っていかれました。
【最高裁判所HPより】
私たちにとっては、裁判所からの郵便は慣れているのでなんとも思いませんが、一般の方が感じるプレッシャーというのは相当なものであることを改めて認識しました。
お客様の悩みに寄り添って、コンシェルジュのように解決をさせていただいた出来事のひとつでした・・・。
なお、裁判員裁判についての詳細については、最高裁判所のホームページの裁判員裁判Q&Aをご覧ください。