昨日は、突然のお誘いで元Jリーガー3名と会食する場に同席させていただきました。現在では、コーチや監督をされていて、今日が試合にもかかわらず遅くまで楽しいひと時をすごさせていただきました。(先程速報見ましたが、今日の試合結果は残念でした・・・)
クラブの監督は、何十人もの個性ある選手をまとめていかなければならない役職です。気さくな方で、気配り、場の雰囲気を自然と和ませる技術にはじまり、選手起用についての苦悩やマル秘話など、楽しく勉強させてもらいました・笑
さて、本日はぜひアパート経営をされている方にぜひ知っておいていただきたい、リスクと対策についてお伝えさせていただきます。
Aさんは75歳で、現在アパートを数棟所有されています。今まで、賃貸管理を自分自身で行ってきました。年を重ねていくにつれ、いつまで自分で管理を続けていくことができるのか、不安を感じるようになってきました。
同じく、妻と一人息子も、将来Aさんが認知症になった場合、不動産管理をどのようにしていけばいいのか心配するようになってきました。さらに、妻も高齢であり、一人息子も遠方にすんでいるため、将来のAさんの介護など、身の回りのことについても漠然とした不安を感じています。
上記のようなお悩みを抱えていらっしゃる場合、どのようにしてその不安を解消すればいいのでしょうか?
このような場合、「信託」と「任意後見」の制度を併用する方法が考えられます。
まず、「信託」という制度を利用することで、仮にAさんが認知症になったとしても、信託の仕組みで、Aさんに代わって不動産の管理・運用・処分行為を行うことができます。また、「任意後見」の制度を利用することで、身の回りに関する契約行為、例えば入院の手続きや介護施設との契約行為などについて、本人に代わって代理することが可能となります。
つまり、信託の制度を利用しておけば、Aさんが認知症となってしまったとしても、不動産に関する契約行為を「受託者」が行うことができます。例えば、アパートの修繕のために銀行から借入れをしたり、低金利への借換えを行ったり、不動産を処分する契約行為や、新たなアパート建築を行うなどの運用行為も行うことができます。
信託は、Aさんが「委託者」となり、アパートを信託財産として、「受託者」に管理運用処分する権限を委ねて、その家賃収入をAさんが「受益者」として受け取る仕組みにします。受託者は、妻も高齢であることや一人息子が遠方にいることを考慮して、管理のプロである信託会社を利用するのがオススメです。
これで、アパート管理についての不安は解消されましたが、Aさんの身の回りについてことについては、残念ながら受託者が代わりになって行うことはできません。あくまで、信託の制度は「財産」が対象となるからです。
そこで、身上監護に関することのケアについては、任意後見制度を利用します。任意後見制度は、Aさんが将来認知症になった場合に、身の回りのことについて本人に代わって行って欲しいことを、任意後見人との間であらかじめ契約で決めておく制度です
預金の払い戻し、公共料金の支払い、病院の入院手続き、老人ホームへの入所手続きなど、自分がして欲しいことを任意後見の中で取り決めをして、信頼できる任意後見人に託すこととなります。任意後見契約を締結しても、実際に効力が発生するのはAさんが認知症となった後となります。
(ちなみに、効力が発生する際、任意後見人には、家庭裁判所から任意後見監督人が選任され、不正行為の有無などについて監督することとなります。)
任意後見人には、信託と同じく、Aさんの妻と一人息子が置かれた状況を考慮すると、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門家に依頼することを考えてもいいのではないかと思います。
なお、信託や任意後見契約をしないでAさんが認知症となってしまった場合はどうしたらいいでしょうか?
このような場合、法定後見制度でAさんを支援することは可能です。ただし、法定後見制度はあくまで、本人を保護するための制度となりますので、信託と異なり、新たにアパートを建築するなど、本人の財産を利用して積極的な運用を行うことはできなくなります。つまり、相続対策や贈与など、本人の財産を減少させることにつながる行為は一切することができません。
また、本人の意向を契約に盛り込むことができる任意後見と異なり、法定後見の「字」があらわすように、後見人が本人のためにできる権限が法律で定まっているため、必ずしもAさんの意向を反映した支援をすることができるとは限りません。
つまり、事前に対策をすることで、将来起こるべきことに対して受身ではなく、Aさんの希望どおりのことを行うことができるようになるわけです。
アパートを建築するなど、相続対策はしっかりされていらっしゃる方でも、相続発生までに起こるであろうリスクについて対策をされていない方もいらっしゃいます。ぜひ、将来起こりうるもう一つのリスクについて考えるきっかけになっていただければ幸いです。