昨日で、このテーマでの話は終えようと思ったのですが、今日の新聞で議決権に関連する記事がありました。実際に起こっている話のほうが頭に入りやすいと思いましたので、その3として取り上げてみたいと思います。
日経総合面に、出光興産と昭和シェルが協業開始との見出しがでておりました。両社が石油精製や物流事業で提携をし、そのシナジー効果を目に見える形で創業家に示したいとのことです。なぜなら、この合併には出光の創業家が反対しており、合併の決議を成立させることが出来ないからです。
出光と昭和シェルの合併の決議を成立させるためには、特別決議が必要となります。ということは、合併に賛成する現経営陣からすると、3分の2以上の議決権割合を保有する賛成があれば、創業家の反対があったとしても、合併の決議を成立させることができます。
それでは、出光の株主構成はどうなっているのでしょうか?
出光のホームページを閲覧したところ、主要株主は以下のとおりとなっておりました。
調べたところによると、筆頭株主の日章興産株式会社は、創業家の資産管理会社となっており、代表取締役が創業者の子の昭介氏が就任しています。また、第2位と第3位の公益財団法人も昭介氏が代表理事に就任している法人となっていました。
その他、昭介氏が個人でもっている株が192万8000株、創業者の孫の正和氏と正道氏が共に241万6000株を個人株主として所有しております。
つまり、
1.日章興産株式会社 2712万株
2.出光文化福祉財団 1239万2000株
3.出光美術館 800万株
4.正和氏 241万6000株
5.正道氏 241万6000株
6.昭介氏 192万8000株
の6名が創業家側の保有している株となり、合計すると5427万2000株となります。
出光の発行済み株式の総数が160.000.000株となっておりましたので、創業家の保有株式は
「33.92%」となります。
となると、株主総会で合併に関する議案について創業家が反対すると、3分の1を超える株式が創業家にあるため、特別決議を成立させるための3分の2以上の賛成を得ることができず、合併ができないという結論になってしまいます。
現経営陣からは、第2位と第3位は公益財団法人であり、公益性の高いものであるため、創業家側の判断だけで決められるものではない・・と考えているようですが、どのように判断されるのでしょうか?
創業家は「企業文化の違いなどから合併効果は得られない」と主張しているので、提携による効果が出ることを示すこと、つまり、協業の結果を出すことで、合併について創業家に納得してもらうしかないような状況なのかもしれません。やはり議決権の所有割合が物を言いますね・・・。
このように、議決権の保有割合が決議に影響している実際の例として、今日の記事から紹介させていただきました。