昨日は、相続が発生した際、まずは戸籍を取得して、相続人を確定しましょう!
というお話をさせていただきました。
私が相続人になると言われたのですが、何から手をつければいいのでしょうか?その1
戸籍の取得が完了し、他に知らない相続人がいないことが確認できたら、次に何をしたらいいでしょうか?
今日はその点について、お伝えしたいと思います。
2.相続財産を調査する
突然の連絡で、ご兄弟の相続人となった場合、戸籍で相続人を確定した後、何をしたらいいのでしょうか?
ご兄弟の財産を把握されているお客様は、実際、どれくらいいらっしゃいますでしょうか?
ほとんどが、ゼロから情報を集めなければならないのではないでしょうか・・・。
まずは、お住まいになられていたご自宅から、いろいろなヒントを探し出してみましょう!
【不動産】
まずは、ご自宅が、所有か賃貸かを確認をしてみましょう。
アパートの看板などで、賃貸物件だったとわかった場合は、その看板に記載されている、管理産会社に連絡をし、お部屋の解約や明け渡しに関する打ち合わせをしましょう。その際、未払いの家賃がなかったかも聞いておくといいと思います。
また、自殺など借主の故意があった場合は、部屋を原状回復するための費用や、損害賠償を大家さんから求められる場合もあります。そのような場合でも、請求された金額が適正か、支払う必要があるのか、専門家にアドバイスをもらうことをオススメします。
所有か賃貸か判明しない場合は、最寄りの法務局で、ご自宅の住所を参考に、不動産の地番を調べて、登記事項証明書を取得してみましょう。1通600円で取得することができます。わからないことは、窓口で聞くと教えてくれます。
その他、毎年5月頃に、役所から送付されてくる固定資産納税通知書に、所有している不動産の一覧が記載されていますので、郵便物の束からそれらがないか探してみましょう。また、ご自宅の中の引き出や仏壇の後ろから、登記済権利証が見つかることがあります。どちらも、地番が記載されている書面ですので、見つけることができれば、登記事項証明書を取得することができます。
なぜ、登記事項証明書を取得する必要があるのでしょうか?それは、不動産に関する権利関係が記載されているからです。
ですから、登記事項証明書を取得したら、所有権に関する事項が記載されている甲区という欄、所有権以外の権利が記載されている乙区という欄の情報を、よく読んでみてください。
ポイントとしては、
①甲区にお亡くなりになられたご兄弟が所有者として記載されていること
②税金の滞納による差押の登記がされていないこと
③仮差押、仮処分の登記がされていないこと
④競売手続きによる差押の登記がされていないこと
登記事項証明書を取得して①のように所有者として記載されていなければ、その不動産は賃貸物件の可能性があります。また②から④の登記がされていると、他にもお金を返していない可能性があったり、相続財産より借金の方が多いことも考えられたり、何かしらのトラブルを抱えておられた可能性がありますので、専門家へご相談する必要があると思われます。
【預貯金】
地味な作業となりますが、引き出しをあけて通帳を探すことになります。通帳を発見することができると、いろんな情報がわかり、その後の手続きが楽になります。
探しても通帳が見当たらない場合は、お亡くなりになられたご兄弟の財布に入っているキャッシュカードの金融機関に照会をしてみたり、カレンダーに記載されている金融機関に照会してみることも有効だと思われます。また、念のために、最寄りの駅にある金融機関に照会するのもいいかもしれません。
不動産の処分までをお願いされていた案件で、家屋の取り壊し前に、念のため、相続人の方とスタッフと一緒に家屋の中に財産が残っていないか、探したことがあります。何度か相続人の方は探されたそうですが、私どもがあたりをつけた引き出しの中に、1千万円以上の預金通帳があったのを発見し、相続人に感謝されたことがありました。地味で大変な作業ですが、捨てられてからでは遅いですので、しっかりと確認していきましょう!
なお、ご自宅で相続財産を探される際は、他の相続人と一緒に作業をすることをオススメします。
「あの人が家を探してから、あったはずの貴金属がないのだけど・・・」と、他の相続人に不信感を抱かれている場面に遭遇したことがあります。あらぬ疑いをかけられることがあり、それがもとでトラブルに発展することもありますので、相続人が複数いらっしゃる場合、1人でご自宅に入って財産を探さられるのは避けられたほうがいいかと思います。
【株式】
株式投資をされていた方には、証券会社から取引に関する報告書が定期的に送付されてくるので、それらの郵便物から判明することがあります。最近はネット証券を利用して、報告書は電子データで管理されている方もいらっしゃると思いますが、その場合でも、株主優待がおくられてきたり、株主配当、株主総会招集通知が郵便で送られてくるので、それらを探すことで取引している証券会社が判明することがあります。
【生命保険】
生命保険については、通帳の履歴を確認し、毎月一定の金額が保険会社から引き落としとなっていた場合は、通帳に印字されている保険会社に問い合わせて、保険契約の有無や内容を確認します。
一時払いの保険契約の場合は、毎月の引き落としがないため、保険証券を探したり、預貯金と同じく、カレンダー、コップなどの粗品からの情報で契約している保険会社が判明することがあります。それらの情報がない場合は、せっかく保険に加入していても、保険金の支払いを受ける手続きをする人が誰もいないということになりかねません。そういった意味でも、生命保険に加入した場合は、保険金の受取人に、契約の内容までお話する必要はありませんが、保険契約に加入した旨だけでもお伝えしておくほうがいいでしょう。
【借金】
お亡くなりになられたご兄弟が、借金をしていたかどうかは調べることは非常に重要なこどです。相続財産の調査の結果、プラスの財産より借金のほうが多い場合は、三ヶ月以内に相続放棄をしないと、ご兄弟の借金を支払う必要が出てしまいます。
絶対に借金がないということを、調査するのは難しいと思いますが、経験上、
ご兄弟の生前からの消費行動、不動産登記事項証明書の甲区乙区の情報、財布に入っているクレジットカード、月末に郵送される取引明細、預金通帳の定期的な引き落とし、貯金の金額などを確認していくと、大抵は判明することがあります。
また、信用情報機関に開示請求をして、クレジットの契約や残債務についての情報を確認することも一つの方法だと思います。
JICC
https://www.jicc.co.jp/kaiji/procedure/inheritance/index.html
CIC
http://www.cic.co.jp/qa/creditinfo.html#09
以上、相続財産の調査のポイントについて、お伝えさせていただきました。
1人暮らしをしていたご兄弟がお亡くなりになられ、相続人の方がご自宅に入ってみたところ、荷物だらけで書類を探すどころではない・・・と、お困りになられているお客様が多くなってきた気がします。
私も、ご自宅がゴミ屋敷に状態になっている場面に何度も遭遇しております。このような状態では、まさに何から手をつけていいかお悩みになるのは当然だと思います。現地への同行、お荷物の処分や不動産の買い取りにいたるまで、信頼できる会社と提携して、ワンストップでお手伝いさせていただいておりますので、お困りの際はご相談ください。