以前のブログで創業家側と対立している出光興産の新株発行についての記事を書きました。公募増資・・・・!
その中で、創業家側が申立てをしている新株発行差し止めの仮処分が認められるかどうかは、今回の新株発行が創業家の支配権を低下させることが主たる目的なのか、それとも正当な資金調達ための目的なのかが、争点となっております。
7月3日に取締役会で新株発行を決議した際に、会社側が説明している資金調達の趣旨は以下のとおりでした。
この会社側の説明文章によりますと、今回の資金調達の理由は、
・昭和シェル石油株式の取得のための借入金の返済のため
・ベトナムのニソン製油所の運転資金
・有機EL材料事業等の戦略投資
と説明されております。会社としては、創業家の支配権低下のためではなく、正当な資金需要によるための、資金調達であることをアピールしております。
そこで、どのような判断を裁判所がするのか注目していたのですが、東京地裁は昨日、創業家の仮処分申立てについて、新株発行の差し止め請求を「却下する」決定を行いました。
新聞報道によりますと、東京地裁は創業家の支配権を巡る争いにおいて有利な立場になるようにするための不当な目的が一応認められるとしたうえで、会社側の資金調達の理由には合理性があるため、「著しく不公正な方法」により行われるものではないと判断したようです。
もちろん、創業家側は、東京高裁に即時抗告をしたようですが、明日が新株発行の効力発生日である払込期日となります。今のところ、東京高裁の判断があった旨のニュースリリースはないようなので、もしかしたら新株発行までに、裁判所の判断が間に合わないかもしれませんね。