事務所へ行く前に、テレビを見ながら朝食を食べていたら、番組で葬儀の改革に関する情報が取り上げられておりました。
その中で印象に残ったのが、見性院というお寺の住職が行った「檀家制度廃止」という改革!
お寺は檀家による経済的な支援を受けて成り立っていますが、価値観の多様化や経済状況の変化によって、改革をしなければ、時の経過とともに檀家は確実に減ることとなり、結果としてお寺の存続が出来なくなります。そんな危機感から、思い切って檀家制度を廃止して「みんなのお寺」を目指したということです。
話を聞いていると、住職というより、経営者として「お寺を経営」しようとしているのだと感じました。
たとえば、サービスの一つとして「レンタル墓」を始められています。将来、お墓を見る人がいなくて不安という方にも、期間を決めてお墓をレンタルし、期間満了後は合同墓で永代供養されることとなるので、残された人に負担をかけることがありません。
また、気のおける仲間と一緒に・・・というニーズに応じて、グループ墓なども用意されております。今まで不透明で不評だったお布施の料金もきちんと明示したり、遺骨を郵送で受け付ける送骨サービスを始めるなど、利用者に寄り添ったサービスを提供されています。
それらの企業努力もあって、檀家制度があったときより、収入が4倍になったとのこと。みんなのお寺を信条にしてから、寄付・年会費・管理費を不要にしたにもかかわらず、収益が4倍ですから驚きです。
一方で、旧檀家さんやお寺の組織の上層部からは反発が出ているようです。今お寺があるのは、長きにわたって檀家さんがお金を出して維持してきたわけですし、このお寺だけ改革をされることで、他のお寺も資本主義の競争原理に巻き込まれていくこととなるので、反対の声があがるのも最もです。
しかしながら、環境変化に対応することなく、旧態依然のやりかたに固執することにより、自分たちが築き上げてきた大事なものを失うことにもなりかねません。
今では、アマゾンで僧侶を派遣する「お坊さん便」というビジネスが成り立つ世の中に変化しております。今までとは違う付加価値を生み出すことが、求めれてきているのかもしれません。
「小さくまとまっていたら、時代に取り残される」という住職の言葉に共感しました。