売買、贈与、相続などで不動産の所有権を取得した際、その不動産の所有者である証として、登記手続き完了の際に法務局から「登記識別情報」が発行されます。
この登記識別情報は、平成17年3月7日から順次、従前の「登記済証」から切り替わっていきました。所有権の登記済証は「権利証」と呼ばれていたので、切り替わる以前に不動産の名義を取得されていたお客様にとっては、そちらの方が馴染みがあるのではと思います。
なお、現在では権利証に代わって登記識別情報となりましたが、これは新規に不動産を取得した時に発行されるものですので、お客様が保管されている権利証が無効となるわけではありませんので、ご安心ください。
なお、この登記識別情報は「シール方式」と「折込方式」の2種類があります。
【シール方式】
【折込方式】
いずれも緑色の用紙ですが、シール方式がA4サイズ、折込方式がA4の3分の2程度のサイズとなっております。平成27年2月23日から様式が変更されて、シール方式から折込方式に順次変更されていきました。
つまり、「権利証」→「登記識別情報シール方式」→「登記識別情報折込方式」という変遷となり、細かく分類すると登記識別情報シール方式でも仕様が改良されることがありました。
この登記識別情報の特徴は、12桁の英数字のパスワードが記載されており、所有権を取得した後に、不動産を売却したり融資を受けるなどの登記が必要な際に、このパスワードを法務局(又は手続きを代理する司法書士)に提供することで登記を行うことになります。
そのパスワードは他人に見られててしまうと悪用されてしまうため、発行された時にパスワードが盗み見されないように隠してある方法が「シール」なのか「折込」方式となっているかが名前の由来です。
(上記の見本では、すでにシールが剥がされたり折込部分を開封したため、パスワードが見えておりますが、発行された時には見えないようにシールか折込で目隠しが施されております)
私たちが登記手続きに使用する場合も、シールを剥がしたり、折込部分を開封してパスワードを記録した後、まだ効力が残っているものに関してはすぐに別のシールでパスワードを保護し、第三者に情報が漏れないようにします。
シール方式にしても折込方式にしても、登記識別情報をお預かりする立場である私たちにとっては、お客様の大事なパスワードですから、慎重に慎重を重ねて扱う大切なものとなります。
通常、不動産を取得してからお客様に登記識別情報をお渡しする際に、「決してシールを剥がさないでください!」とお伝えするので、お客様が自身で開封されることはあまりなく、大半の登記識別情報は私たちが初めて開封することになります。
今日も、不動産の売買で登記識別情報をいつもの様に売主様からお預かりして、確認しようとしたところ、一瞬固まってしまいました・・・。
最近相続で不動産を取得されて、折込方式の登記識別情報が発行されていたのですが、すでに折込部分が開封されていたのです(汗)
事情をお伺いしたところ、「開けたくなって開けてしまったとのこと・・・」
この気持ち、よくわかります。上記で書いたとおり、私たちが「決してシールを剥がさないでください!」と伝えれば伝えるほど、見たくなってしまいたくなるのが人間の性。
「絶対に中を覗かないで下さい」と言われていたにもかかわらず、中を覗いてしまった「鶴の恩返し」の話と同じですね。
しかし、この登記識別情報の12桁のパスワードは、キャッシュカードの暗証番号と同じように第三者(司法書士を除く)には絶対に見られてはならないものです。
お気持ちはわかりますが、情報が漏洩して不正な登記がされないように、シールを剥がしたり折込部分を開封したくなる衝動に駆られても、決して実行しないようにご注意ください!