ご依頼いただく業務ですが、何故か不思議とトレンドがあって、同じような案件が続く傾向があります。最近多いのが、「親」から「子」への贈与に関する案件です。
不動産もそうですし、現金を贈与したいとのご相談もありました。
どの財産を贈与するにせよ、気をつけなければならないことの1つとして挙げられるのが、「税金」です。不動産を贈与する場合は、「贈与税」、「不動産取得税」などの税金が課税されることになりますが、そのことについての認識なく贈与手続きのご依頼をいただくお客様が多くいらっしゃいます。
私たちが、税金のことを考慮せず、お客様のご依頼いただくまま、単に名義変更の手続きを行ってしまうと、後から多額の税金をお客様が負担することとなってしまうことにもなりかねません。
よって、「贈与=税金」とのアンテナを立て、実際に手続きを行う場合は税理士の先生と連携するようにしております。
また、贈与する意図をお客様からヒアリングした結果、名義変更を事前にしなければならない事情がある場合(たとえば自分が亡くなった後に相続争いが起きることが事前に想定される場合等)でなければ、「遺言で代替する方法」を提案することもあります。
ご自身が亡くなった後でしか名義変更は出来ませんが、先に名義を変更する必然性がなければ、遺言で手当てをすることで、贈与税も不動産取得税もかかりませんし、登記をする際の登録免許税も贈与に比べて5分の1に抑えることができます。
また、「人生100年時代」に突入していますから、資産家のように相続対策が必要な方は別として、ご自身の将来設計のためにも、なるべく資産を手元においておいた方がいいと考えています。子世代は働いて稼ぐことが出来ますが、親世代は今まで貯蓄した財産を守りながら生活していくことになるからです。
実際、生前に子供へ自宅を贈与した後、親子の折り合いが悪くなり、逆に自分たちが自宅から追い出されてしまったという話を良く聞きます。また、独身だった長男のために自宅を贈与した後、長男が結婚して家族構成が変化したことで、家族のパワーバランスが崩れたり、お嫁さんとお姑さんとの間がうまく行かない・・・などのトラブルから上記のような事態が生じてしまうことは十分考えられます。
また、かわいい我が子のことを思い、自分の財産を贈与しすぎた結果、自分の将来の生活設計が厳しくなったしまったということも良く聞く話です。
今すぐ贈与して後から後悔しないためにも、自分がお亡くなりになった後に財産を承継する方法である遺言を上手に活用することも検討されてみてはいかがでしょうか?