本日の朝刊に、所有者不明土地問題に対応するため、登記官に所有者を特定するための調査権限を与える方向で検討しているとの記事が掲載されておりました。
現在、所有権などの権利についての登記について、登記官は申請書や添付書類などの申請された書面について形式的に審査する権限しかなく、登記官が申請された書面以外に独自に実体を調査することはできません。
法改正が行われると、登記官は所有者による申請がなくても(つまり所有者の許可なく)、登記簿に記載された所有者の情報が正しいのかや土地の変遷の実態について、調べられる権限が与えられます。
調査の方法については、その土地の利用・管理の実態調査、地域の自治会の聞き取りや文献調査などが想定されているようです。
なお、この調査は正常な登記がされておらず調査の緊急性が高い土地に限られるとのこと。
正常でない登記とは、昔の集落で複数人で共有しているにもかかわらず、「山田太郎他30名」といったように代表者のみの氏名しか登記されておらず、所有者を特定することができない登記のことを想定しているようです。
さらに、代表者の名前もない「共有地」といった表記で登記がされているケースもあります。実は現在、お客様からの依頼で、「共有地」とだけ登記されていて、誰の土地なのか登記の記録からは判明しない難易度の高い案件と格闘しております。
通常の登記手続きについては、IT化やAIを活用し登記に費やす時間を極小化し、AIでは対応が困難で社会問題となっているこのような案件について、リソースが投入できるようにぜひ法改正を実現してもらいたいものです。