今日、お客様から相続財産の件についてのご質問をいただきました。
親戚の方がお亡くなりになられて、近所に住んでいたため葬儀などのお手伝いをしたが、自分は相続人に該当しないし、他にも相続人がいないが財産はどうなってしまうか?・・・とのこと。
都内に不動産、株券、預貯金があるようですが、そのお客様は相続人でないためもちろん相続することはできませんし、その他の親戚の方も民法で定められている相続人ではないため、その財産を「相続」で承継することはできません。
このように、お亡くなりになられた方に相続人がいない場合の相続財産は誰のものになるのでしょうか?
遺言で相続財産の承継先を指定することなくお亡くなりになられた場合、原則、その相続財産は国庫に帰属することになります。実に、年間420億円を超える相続財産が相続人不在で国のものとなっています。
ちなみに、上記で「原則」と記載したのは、例外があるからです。
それは、お亡くなりになられた方と特別な関係にある「特別縁故者」が家庭裁判所に申立てを行って認められると、相続財産の全部又は一部の分与を受けることができます。
その特別な関係とは・・・・、
・被相続人と生計を同じくしていた者
・被相続人の療養看護に努めた者
・その他被相続人と特別の縁故があった者
であり、内縁の妻、長年にわたって施設で生活支援をした社会福祉法人などが裁判例で認められていますし、実際に経験した案件では、菩提寺である宗教法人が特別縁故者と認められた事案もあります。
この特別縁故者に対する相続財産分与の申立てですが、裁判所の平成28年のデータによると、年間1068件の申立てがあるようです。
何もしなければ国庫帰属となるため、お亡くなりになられた方の特別な関係にあったと思われる方は、裁判所に申立てを行ってみるのも一つの方法だと思います。
そうならないためにも、ご自身の財産を承継について元気なうちに考えておくことも大切だということは言うまでもありません・・。