三連休最後の今日は、相続手続きでお預かりした財産を分配するための準備、午後からは相続手続きが未了のうちにさらに相続が発生されたお客様との打ち合わせを行いました。
異業種の先生からも質問や議事録確認などのメールが入っていて、みんな休まず頑張っているなと思うと、やる気がチャージされます・・。
さて、今日は昨日に引き続き特例有限会社について書いてみたいと思います。
平成18年5月1日に施行された会社法の改正に伴い、有限会社は株式会社として存続されることになりましたが、従前どおり商号に有限会社の文字使用が義務付けられ、株式会社であって株式会社ではないということで、「特例有限会社」と呼ばれております。
「特例有限会社」≠「株式会社」であるので、特例有限会社の手続きを行う場合は、この「≠」に注意する必要があります。
注意する点の一つとして、特別決議の要件があげられます。
通常の株式会社であれば・・・
・当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2
ところが特例有限会社では・・・
・総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の4分の3が要求されています。
まず、すぐに違うと気づくのが「議決要件」です。株式会社においては定足数の3分の2、特例有限会社においては4分の3ということで、株式会社よりも加重されています。
案外見落としがちなのが、株式会社では、「議決権の過半数」、特例有限会社では「総株主の半数以上」となっている点です。
つまり、株式会社は「株式の数」、特例有限会社では「株主の数」が基準となっています。
具体的に、株主が以下の5名で200株を発行している会社において、特別決議が必要な定款変更を例にして考えてみましょう。
①甲野・・・・130株
②乙野・・・・50株
③丙野・・・・10株
④丁野・・・・5株
⑤戊野・・・・5株
株式会社であれば、議決権の過半数が定足数となるため、101株以上の議決権を有する株主が出席すれば成立するため、130株を保有している甲野さんしか株主総会に出席しないとしても、決議に賛成すれば、甲野さんのみの出席で特別決議が成立することになります。
一方、特例有限会社においては、「総株主の半数以上」が求められていますので、200株のうち4分の3以上を保有している甲野さんと乙野さんが決議に賛成したとしても、総株主5名の過半数である3名の賛成の要件を満たしていないため、決議が成立しないということとなってしまいます。
株式会社の手続きばかりを行っていると、上記のケースの場合に、甲野さんと乙野さんの賛成で4分の3を超える場合に、決議が成立したと思い込み、落とし穴にはまってしまう可能性があるので要注意です。
その他、当事務所でも経験があったのが、特例有限会社の特別清算と株式交換です。
いずれも、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第35条、第38条において、会社法の規定を適用しないとされておりますので、特例有限会社のままでは手続きをすすめることができません。
上記の手続きとも、そんなに頻繁に行う手続きではないため、経験をしていなければ落とし穴にはまってしまう可能性があります。
もし、このような手続きを依頼された場合は、事前に特例有限会社を株式会社に変更したうえで手続きをすすめていく必要があります。
ということで、「≠」にアンテナが立っていないとついうっかり・・・ということになってしまいますので、特例有限会社の手続きをすすめる際は整備法を確認することをおすすめします。