自分がお亡くなりになった後の相続財産の分配方法について遺言を作成したにもかかわらず、その遺言に基づいて手続きをすすめることができない事案が最近ありました。
お父様が相続人で子の一人に「不動産を相続させる」という遺言を作成しておいたのですが、残念ながらお父様がお亡くなりになられる前に相続人として指定されていた方がお亡くなりになられてしまっていたのです。
お父様も年齢から考えて自分の方が先にお亡くなりになられると思っていらっしゃっていたようで、ご自身が先にお亡くなりになられたことを想定した条項がその遺言書には入っておりませんでした。
このような場合、先に亡くなってしまった子の相続人に相続されるのでは・・・と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、特段の事情がない限り相続されることはなく、その部分の遺言については効力が生じない扱いとなり、遺言書が無かった時と同様に相続人全員の協議によって、相続財産の分配を決定することとなります。
つまり、協議の結果によっては、お父様が本来相続してもらいたかった子(又は子の相続人)が取得することが出来なくなってしまうことになってしまいます。
そのようなことを防ぐために、遺言者よりも先に相続人が亡くなったことも想定して、相続財産を取得すべき方が遺言者と同時又は先に死亡した場合に次の取得者を定めておく予備的遺言の条項を入れておく必要があります。
相続は順番どおりに発生するわけでもなく、いつ発生するかもわからないため、考えうるリスクを考慮しながら遺言書を作成しましょう!