先日、絵画・陶器・掛け軸などの美術品や古書を大量に所有されていたお客様の遺品整理をお手伝いさせていただきました。
相続人の方は美術品にあまり関心がないようでして、それらをお持ち帰りされるおつもりがなかったので、そのままゴミとして処分されるのもどうかと思いまして、専門家に査定をしてもらって買取をしてもらいましょうとご提案させていただき、自宅までプロに出張査定に来てもらうよう依頼することになりました。
陶器や掛け軸は桐の箱にきちんと保管されており、陶器も備前焼きや九谷焼など素人の私でも名前を知っているようなものでしたし、古書に関しても専門的なものでしたので結構な値段がつくのではと内心思っておりました。
鑑定する品物を並べて鑑定人の社長がお見えになり、それらを一見してすぐ「これはあまり値段がつきませんよ!」の一言が・・・。
「え、中も見ないで何がわかるのか!」と内心思いながら訪ねたところ、値段がつく美術品は、そもそも美術品を収納している箱の質が違うということや箱に記載されている作者が有名でなければ、備前焼だろうが〇〇焼きだろうが値段が高くつかないということを教えてくれました。
しかも、大掃除や遺品整理の際に、不要な美術品がリサイクルショップに持ち込まれ、価値がわからないお店で安価で買い取りされた後に販売されているため価格が崩壊していること、仮に価値があるものだとしても最近の日本人で美術品にお金を投資する人が少なくなっているとのこと。
最近では、海外の方が興味を持つような品物であれば売れることもあるが、そうでなければ最終的にはワゴンセールで〇〇円均一で販売しても売れ残るような状況であるなど、古美術業界のことについていろいろと話をしてくれました。
そんなわけで、一番高く買ってくれると思っていた備前焼の陶器などはほとんど値がつかなかった一方で、中国の木を使ったお盆や中国製の茶たくに値段がつくなど、プロの目利きによる選別を目の前で体験することができました。
テレビの番組のように鑑定額が数百万円という査定がされても、実際に需要がなければその値段はあってないようなものですし・・・。
まさに、モノの値段は「需要と供給のバランスで決まる!」ということですね。