「紀州のドン・ファン」と呼ばれ、謎の死や相続財産をめぐり、マスコミでも話題となった資産家の野崎さんが、全財産を田辺市へ遺贈する内容の遺言を残されていたことがニュースとなっておりました。
市が財産を調査したところ、約13億円の資産があったとのことです。
市ではこの財産を受け入れる方向で検討しているようです。ただし、この13億円の財産がすべて市が受け取ることにはなりません。
というのも、「全財産を遺贈する」というように、個々の財産を特定せずに遺贈することは「包括遺贈」と呼ばれており、包括遺贈は「相続人と同一の権利義務を有する」と民法第990条で定められています。
ちなみに、「〇〇の不動産を遺贈する」というように、個々の財産を特定する遺贈は特定遺贈と呼ばれており、包括遺贈のように相続人と同一の権利義務を有する定めはありません。
ということで、包括遺贈の場合は相続と同様に、プラスの財産だけでなくマイナスの財産、つまり借金などを承継しなければなりません。
報道によると、野崎さんの債務を13億円の遺産から差し引くと、約3億円ほどになるようです。
今回のケースのように、差し引きプラスになる場合はいいのですが、包括遺贈でもらえる財産ばかりに着目し、債務を承継することを考慮しておかないと、結果として遺贈を受けたことでマイナスの債務を承継することになってしまった・・・ということになりかねません。
遺贈をする側も受ける側も、この点について見落としがないようにご注意ください!