昨日、偶然にもお二人から「相続登記をすることなく買主へ所有権移転手続きをすることができますよね?」というご質問をいただきましたので、そのことについて書いてみたいと思います。
もともと父親名義のご実家が、父親に相続が発生して母親名義となっていたとします。その後、時を経て母親も亡くなったことを契機に、ご実家の売却を検討されるお客様は多いと思います。
司法書士や税理士などの専門家を訪れて手続きを依頼される場合は、相続人へ相続登記をしてから、不動産を売却し、買主へ所有権移転手続きを行うという段取りを経ることとなります。
ところが、売却を急がれている場合などで不動産会社を先に訪れた場合、相続登記をする前に、不動産を取得予定の相続人が売主として売買契約を締結することがあります。
ご実家の相続登記を経ずに売買契約の締結がされたことで、相続登記を省略して売買による買主へ所有権移転登記が出来てしまうと、誤解をされてしまっていることがあるので、注意が必要です。
実は、質問をされたお客様の案件は、相続登記前に売買契約が締結されていたのですが、相続登記を行う必要があることを不動産会社を含め誰も気づいておらず、昨日、売買による所有権移転の案件を受託した際に、その事実が判明しました・・・。
今月中に買主への引き渡しを予定されていたようですが、これから戸籍を取得して、遺産分割協議も行って・・・と、相続登記の準備を考えると予定日には間に合わないため、やむなく延期となり、急いで前提の相続登記の準備からお手伝いすることとなりました。
実は、過去にも数度このような経験がありますので、相続登記よりも前に売買契約が行われているときには、相続登記が行われているか確認する必要があります。
例えば、相続税の支払いのために不動産を売却するという事案の場合は、納付期限までに、相続登記と所有権移転登記も行って、不動産を現金化しておく必要がありますので、買主との間で売買契約を締結して一安心ではなく、相続登記の準備を行っておかなければ、納付期限に相続税の支払いが間に合わない!・・という事態が生じることもありえます。
相続登記は、戸籍を収集するだけでも1ケ月から2ケ月かかることもありますので、ご実家の売却を検討されているお客様は、売買契約だけでなく相続登記についても、前倒しして準備をすることをおススメします!