認知症になってしまった親が施設に入所するため、親名義の定期預金口座を解約して入所資金に充てようとしたところ、本人が認知症になったことを理由として定期預金口座が凍結され、お金を引き出すことが出来ずに困った・・・という話を聞いたことはありませんでしょうか?
「え、本人のために使うお金なのに?」とか「本人の代理人として家族が手続きをしているのに?」など、預金口座が凍結されて不満の思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、金融機関も本人の意思を確認できない以上、本人の財産を守るために引き出しを拒否せざるを得ません。
口座が凍結されてしまった場合、引き出しをするためには、家庭裁判所において本人の代理人となる「成年後見人」を選任してもらわなければなりません。
最高裁判所で毎年公表されている成年後見に関するデーターを見てみると・・・・
【裁判所HPより引用】
成年後見手続きを利用する手続きとなった原因のトップは、63.4%の「認知症」で圧倒的な割合となっています。
また、成年後見手続きを利用するに至った動機に関するデーターですが・・・
預貯金等の管理・解約が42.0%で同じくトップとなっております。
このことから、認知症が原因で預金口座が凍結されてしまったために成年後見手続きを利用することになられた方が一定割合いらっしゃることがデーターからわかります。
認知症患者は、2025年には約730万人に達すると予想されていて、高齢者の5人の1人の割合で発症すると見込まれており、決して他人事ではありません。
資産を残すことも大事ですが、認知症など判断能力が低下して資産が凍結されないように対策することも必要なことになってきます。判断能力が低下してからは対応できる選択肢も限られてしまうため、お元気なうちに対策を検討されることをおススメします。