海外の法人と取引をされるお客様から会社設立のご依頼をいただく際、商号を英語で登記できるか?というご質問をいただくことがあります。
その際、お客様からの質問の趣旨を理解したうえで回答する必要があります。
例えば、【ABC株式会社】のように、株式会社の商号にアルファベットを使用できるかのか?という趣旨であれば「可能」ということになりますし、【ABC CORPORATION】のように、すべてを英語表記で商号登記ができるのかという趣旨であれば、「不可能」ということになります。
というのも、会社法第6条第2項において・・・
会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。
と規定されているため、会社の種類を表すには、英語でなく、「株式会社」という日本語の文字を、商号中に使用しなければならないからです。
それでは、海外との取引で商号を英語で表記したい場合はどうしたらいいでしょうか?
その場合、定款の商号の規定中に、英語表記を併記して表示する方法があります。
具体的には、「当会社は、ABC株式会社と称し、英文ではABC CORPORATIONと表示する」・・・という方法で、定款上に定めることが可能となります。
ちなみに、株式会社を表す英文として、CORPORATION、Inc.、Co,. Ltd.、K.K.などがあります。
上場企業の例では、
・トヨタ自動車株式会社→TOYOTA MOTOR CORPORATION
・任天堂株式会社→Nintendo Co,. Ltd.
・楽天株式会社→Rakuten Inc.
・トーヨーカネツ株式会社→TOYO KANETSU K.K.
というように、各社それぞれの英語表記で、定款に定められています。
当時事務所で取り扱った事例で一番多いのが、「Co,. Ltd.」という表記で、次に多いのが「Inc.」です。ご参考まで!