日銀は、「銀行の銀行」「政府の銀行」「発券銀行」という3つの機能があります。最近では仮想通貨との関係で発券銀行という機能がどう変化していくか興味を持っていましたので、昨日、BSジャパンで放送されていた、「小谷真生子 経済ルポSP 実録日銀」-知られざる“時代”との格闘・・・を見ることにしました。
一番印象に残ったのは、金融システムの安定という使命を守るために、私たちの知らないところで、通貨の番人として常にあらゆるものと闘うための努力をしているということ。
闘う相手は、デフレ、金融危機、地震、戦争など金融秩序をおびやかすものすべてです。為替・各国の重要人物の発言・直前に起きた出来事を情報収集し、毎朝にミーティングで市場にどのような影響がでるのか検証作業をおこなっていたり、東日本大震災の際は、震災後すぐに対策本部を設置し、現地の金融機関のために大量の現金を供給し続けることで、現金が不足している被災地の生活が困らないための支援をしていました。人命救助が大きく報道されていたので、その裏で寸断された道路を走りながら、被災地に日銀が現金を輸送し続けていることをはじめて知りました。
また、広島に原爆が投下された2日後には、焼け野原の中、広島支店が窓口を開けたことを知りました。これも、有事に備えて建物を強固なもので建築し、重厚な扉の金庫を保有していたからこそ、出来たことだと説明されていました。
ちなみに、現在の日銀も首都圏直下型地震などの有事に備えて、免震工事がされている最中でした。【日銀HPより】
とにかく、何があってもお金の流通が止まることは許されないという相当な覚悟をもって、金融システムを動かしていることを垣間見ることができました。
また、景気判断についても、地方の支店の職員が地元企業に何度も訪問し、社長に景気動向についてヒアリングしたり、消費動向についても細かい商品の売れ行きも気にしながら、金融政策が実行されていることがわかりました。
多くの職員の緻密な現場力に支えられていることを知り、今までのイメージが変わりました。デフレからなかなか脱却できずに、2%の目標が達成できないという結果でしか黒田総裁のことを判断していなかったのですが、小谷キャスターによる黒田総裁の単独インタビューや現場でのやり取りをみて、市場が動揺しないよう発言一つにも気を配り、また、データだけでなく足で稼ぐ緻密な現場力が結集している日銀の凄さを感じた番組でした。