株式を所有している株主にとって、「株の値上がり益」や「株主優待」と共に、楽しみに待ち望んでいるものとして、「剰余金の配当」があります。
この配当金は、会社が生み出した利益を株主に還元する性質のものですが、利益が出ていない場合であったとしても、会社に原資があれば、配当を行うことは可能です。
ただし、この配当金ですが、株主にとって有利だからといって、上限なく配当をすることはできません。
会社法において、配当を行う場合は「分配可能額」の範囲で行うことがルールとして決められており、そのルールに基づいた金額の範囲内であれば、事業年度中に何度でも剰余金を配当することも可能です。
それでは、分配可能額はどのように計算すればいいのでしょうか?
簡易的に算出する方法として、以下の計算式を用います。
分配可能額=「その他資本剰余金」+「その他利益剰余金」-自己株式の簿価
つまり、その他資本剰余金とその他利益剰余金を合算し、自己株式がある場合は△で計上されていますので、その数字をマイナスして算出された金額の範囲内で、株主に対して配当を行うことになります。
貸借対照表の純資産の部の中にある、「株主資本」という項目をご覧いただくとこれらの数字が記載されております。株主資本は、「資本金」・「資本剰余金」・「利益剰余金」・「自己株式」・・・などから構成されています。
資本剰余金は「資本準備金」と「その他資本剰余金」、利益剰余金は「利益準備金」と「その他利益剰余金」に項目が分かれており、その他利益剰余金はさらに細分化することができます。
分配可能額の判定のもととなるのは、その他資本剰余金とその他利益剰余金であって、広義の意味での資本剰余金と利益剰余金ではありません。
当初は、私も混同しがちなところでしたので注意が必要です。
それでは、続きは明日、具体的な例をみていきたいと思います。