昨日、辞任届に押印する印鑑について説明させていただきましたが、きょうも同じく印鑑のことについてもう少し書いてみたいと思います。
会社の代表取締役に就任する際、法務局に印鑑を届け出ることができます。代表取締役が1名しかいない場合は、その代表取締役が印鑑を届け出ることは必須なのですが、代表取締役が複数いる場合は、少なくとも1名が届け出をすれば問題ありません。
法務局に印鑑を届け出ることでどういう効果があるかといいますと、その届け出た印鑑について法務局で印鑑証明書を発行してもらうことができます。印鑑証明書が発行されれば、銀行から融資を受けたり各種契約を締結する際、その代表取締役がその印鑑証明書に登録されている印鑑を押印することで、契約を自分で行うことができるようになります。
逆にいうと、複数代表取締役がいる場合に、全員の代表取締役が印鑑を届け出ることで、全員が自分の権限で印鑑証明書の交付を受けることができ、結果的には他の代表取締役の知らないところで契約を締結することが可能となります。
実際に、複数の印鑑を届け出ていたところ、ある代表取締役が他の代表取締役に相談することなく、自分で法務局に届け出た会社実印と印鑑証明書を利用して、金融機関から融資を受けて私的に流用していることが発覚して問題となった案件もありました。
印鑑を届け出るということは、印鑑証明書が発行されるということであり、契約などの法律行為もその届け出た代表取締役が一人で行うこともできるということにご注意ください!