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株主ごとに異なる株式! 相模大野の司法書士からのアドバイス

2017 / 05 / 01 / 月

 

 

株式会社は、さまざまな種類の株式を発行することができます。主に9種類ありますが、それぞれの種類を組み合わせて発行することもでき、事業承継対策にも利用されております。

 

例えば、後継者である長男と事業を継がない長女の2名が相続人になる予定の場合、株式の一部を議決権のない優先配当の株式に変更し、長男には「普通株式」、長女には「無議決権優先配当株式」を将来的に渡せる仕組みを設計し、長男が事業を承継した際に経営権で争いがおきないために活用されたりします。

 

長女に優先配当をつけるのは、無議決権株式を譲渡されたことに対する感情のしこりを残さないようにするためです。

 

会社法では、このように「株式ごと」に内容が異なる株式だけでなく、「株主ごと」に内容の異なる定めを定款で付すことができます。このような株式は「属人的株式」と呼ばれています。

 

株式会社では、株主が有する株式の内容や数に応じて平等に取り扱われるという、株主平等の原則が考えのもととなっているのですが、株式を自由に譲渡できる、公開会社以外の株式会社、つまりごく身近な株主で構成されている株式会社については、その例外が認められています。

 

その例外とは、「剰余金の配当を受ける権利」「残余財産の分配を受ける権利」「株主総会における議決権」の3つとなっております。本来は、株式の内容や持株数に応じて異なるのが原則ですが、この3つの権利に限り、株主ごとに異なって定めることができることが認められています。

 

たとえば、長男も長女も同じ株式でありながら、長男には1株につき10の議決権、長女には1株につき1の議決権というように、株主ごとに異なる定めをすることができます。ただし、私の知る限り、この属人的株式はあまり実務では利用されていないように思われます。

 

というのも、冒頭の種類株式については、株式の内容等が登記されるため、会社の謄本を取得するとその内容が誰でも確認できるのに対し、属人的株式は登記の必要がなく、定款にしか記載されていないため、第三者がこの株式の内容の存在を知りえることが困難な点があげられます。

 

また、一部の株主に著しく不平等な取り扱いは、後日、裁判等で否定される可能性があり、どこまでがボーダーラインなのかがはっきりせず、発行を企画する側からするとためらってしまうことがあります。

 

また、注意しなければならないのは、あくまでその「株主ごと」に異なる定めであるため、その株式が譲渡された場合は、その株主に設定されていた定めが譲渡先の株主には及ばないこととなります。

 

たとえば、100株をもっている長男に1株につき1の議決権、同じく100株をもっている長女は議決権がないという属人的な定めを設計した場合、長女が夫に株式を譲渡した場合には、長女の夫に譲渡された時点で株式の議決権が復活することになるので、定めを設ける際にはその点まで考慮する必要があります。

 

なかなか実務上、活用することが難しい制度ですが、著しく株主平等の原則から逸脱することなく、設計趣旨が。特定の株主だけに有利になることなく、関係者の全体最適になるような設計ができるのであれば、活用の余地もありそうです・・。

 


 

 

 

 

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