監査役を置いている株式会社で、監査役の変更登記をする際、一緒に登記手続きを行う必要があるものがあります。
平成27年5月1日から、監査役の監査権限が「会計に関するものに限定」されている旨の定めがある場合は、その旨を登記しなければならなくなりました。ちなみに、監査役の権限は、業務監査と会計監査の2種類があり、会計に関するものに限定されている会社の監査役は、会計監査のみを行うこととなります。
よって、このような定めのある会社は、平成27年5月1日以降最初に監査役の変更登記手続きを行う際、一緒にこの登記手続きを行う必要があり、最近扱う監査役の変更登記手続きの大半は必ずこの手続きがセットとなっています。
ちなみに、監査役の範囲が会計に関するものに限定しているかどうか、通常の中小企業の場合は、以下のポイントが目安となります。
【平成18年4月30日以前に設立の場合】
・平成18年5月1日当時、資本金が1億円以下
・株式の全部に譲渡制限の規定がある
・監査役の範囲について、定款変更をしていない
【平成18年5月1日以降に設立の場合】
・株式の全部に譲渡制限の規定がある
・会計限定監査役の定めがある
大半の中小企業の監査役の監査権限は、会計に関するものに限定されているため、監査役の変更=会計限定の登記が必要と機械的に手続きをしていまいがちですが、気をつけなければならないのが、「株式の全部に譲渡制限の規定がある」という要件です。
以前、役員の任期のブログでも書きましたが、株式の譲渡制限の制度が導入される前に設立した会社で、そのまま譲渡制限の規定を設定していない会社は、中小企業でありながら株式の譲渡制限の規定の定めが登記されておりません。
このような会社の場合は、監査役の範囲を会計に関するものに限定することは出来ませんし、役員の任期も原則の2年以上伸長することが出来ないため、多くの会社が取り入れている10年の任期にすることも出来ません。
登記されているものは目に付きますが、登記されていないものについては案外見落としがちになります。譲渡制限の規定があるかないか、監査役の範囲についても、今一度確認しておくことをオススメします。