自筆証書遺言を利用した相続手続きが増えております。
自筆証書は民法で定められた要件に従って作成しないと、相続手続きを行うことが出来なくなってしまいます。
全文を自筆で書くこと、日付を記載すること、氏名を書くこと、押印する必要がありますが、すべての要件をクリアしていたとしても、書かれている内容の表現次第で手続きが進まなくなることもあります。
最近あったケースでは、ある方に全ての財産を相続させたいという意向で書かれた自筆証書遺言があったのですが、「〇〇に全ての財産を相続させる」と記載すべきところ、「〇〇に預貯金の全てを相続させる」という内容になっておりました。
つまり、この表現では預貯金全ては〇〇に相続させることができますが、預貯金以外の財産についてには言及されていないこととなり、他の相続人の印鑑が必要な遺産分割協議などを行う必要が出てしまいます・・・。
せめて、預貯金を含む全ての財産を相続させる・・・となっていればと悔やまれるのですが、遺言書の内容がそのように表現されていれば、そのとおりに手続きを進めざるをえません。
また、別の自筆証書遺言書では、相続させる財産を列挙されたうえで、「遺言書の全ての財産を〇〇に相続させる」という内容になっておりました。
相続財産を確認したところ、遺言書に記載されていない不動産などがいくつかあり、こちらについても記載されていない相続財産については遺産分割協議が必要となってしまいます。
せめて、遺言「書」の全ての財産ではなく、遺言「者」の全ての財産となっていたら、自筆証書遺言で相続手続きが可能だったのですが・・。
ということで、ちょっとした表現の違いで、ご自身の思いを実現することが出来なくなることもあります。
自筆証書遺言が利用される時は、遺言を書いたご本人はすでにお亡くなりになられていて書き直すことができませんので、自筆証書遺言を作成する場合は、専門家に確認してもらうことをおススメします!