相続を受けるべき方がすでに認知症となっており、そのままでは手続きができないため、家庭裁判所に後見人選任の申立てをしてもらっていたお客様から連絡がありました。
後見人は認知症になった方の代わりに相続手続きを法的にすすめることができる役割を担うことになります。よって、相続人のうちの一人でも認知症となっている場合、相続手続きをすすめていくには、後見に関する申立てが必要となります。
今回は、認知症になられた方のお世話を実際にされているご親族の方を後見人の候補者としたのですが、残念ながら裁判所からNOの判断をされてしまいました。
最近、親族の方が後見人となられた場合、認知症となられている方の財産管理を行う際に、いわゆる使い込みをしてしまう事案が新聞報道でも取り上げられており、問題となっています。
そのため、後見人に親族を選任するのではなく、第三者後見人が後見人に選任される割合が多くなってきております。
(残念ながら、第三者後見人も使い込みをしてしまう事案も発生してますが・・)
このことは裁判所の統計からも明らかになっております。
成年後見制度が創設された平成12年4月から平成13年3月までに、成年後見人等(後見人・保佐人・補助人)に本人の親族が選任されたのが全体の90%以上、親族以外の第三者が成年後見人等に選任されたのが10%弱となっていました。
ところが、平成28年1月から12月までの統計をみますと、成年後見人等に選任された親族が全体の30%弱、親族以外の第三者が70%強と、制度が創設された時と割合が逆転しております。
ちなみに、第三者後見人としては、弁護士・司法書士・行政書士・税理士・社会福祉士・市民後見人の立場の方が職務を担っており、その中でも司法書士が一番多く選任されています。
今回は、認知症の方が一定額の財産を相続することとなるので、親族の方が後見人となることができないと判断をされたようです。そこで、成年後見の実務に精通している私の知り合いの司法書士に候補者をお願いし、再度、裁判所の判断を仰ぐこととなりました。
ただ、ご家族の方からすると、ある日突然知らない専門家がやってきて、財産の管理権を委ねなければならないので、心情的には納得できないモヤモヤが残ってしまいますね・・・・・。
そういった意味でも、元気なうちに認知症になったときに備えることが大事だと思います。認知症になってからは、支援できる方法も限られてきますので、みなさまもぜひご検討ください!