今日、弁護士の先生より「会社法になる前から存在する株式会社の謄本に、取締役会設置会社である記載がないんですが・・」とのお電話がありました。
平成18年5月1日に会社法が施行されましたが、施行前の商法時代は、株式会社には取締役が最低3名を置くことが要求されており、そのような会社は会社法施行後、取締役会設置会社という登記がされることになりました。
そこで、その対象の会社の謄本を確認したところ、確かに取締役設置会社の登記がされておりませんでした。ちなみに、会社の謄本は、現在効力を有する登記記録だけを証明する「現在事項証明書」ではなく、登記記録の履歴が記録されている「履歴事項証明書」でした。
よって、冒頭のご質問は、履歴事項証明書には、すべての履歴が記録として証明されるのであると思っていらっしゃるのではないかと推測がつきました。
実は商業登記規則第30条に、以下の規定があります。
三 閉鎖事項証明書 閉鎖した登記記録に記録されている事項
つまり、証明書を請求した日から基準日(3年前の日の属する年の1月1日)までに抹消されたり現に効力を有しないものが、履歴事項証明書で証明されるということとなります。
逆に、基準日よりも前に抹消されていたり効力を有しないものについては、履歴事項証明書に記録が記載されないということになるわけです。
ということで、今回は、取締役会設置会社の廃止の決議を行い、その旨の登記がなされてから相当期間が経過していたため、その記録が証明書に記載がされてこなかったのです・・・。
ちなみに、履歴事項証明書で証明されなかった事項については、「閉鎖事項証明書」を取得するとその履歴を調べることができます。
取引等で相手の会社の謄本を取得して調査する場合、時間の経過に伴って、履歴事項証明書では証明されない記録もあることにご注意ください!