親子で経営権を巡るドロ沼の争いをした末、平成27年3月に大塚家具を退任し、新たに「匠大塚」を設立した大塚会長のインタビュー記事が掲載されていました。
父娘げんかを経て語る「事業承継ここを誤った」と題し、過去の出来事を振り返っておられます。その中で、親子の間で事業承継をする際、やってしまいがちな誤りの一つをしてしまっていたことがわかりました。
その誤ってしまいがちなこととは・・・・・
大塚家具における事業承継での最大の失敗と反省点は、私自身が「私の時代認識や事業観、経営観などを子どもたちが分かってくれている」と過信していたことにある。というよりも、「言うまでもないこと」という感覚があった。それは私の甘さであった。
と記事の中で述べられています。
私が所属させていただいている事業承継センターでも、親子の人間関係はあまりにも近い存在であるがゆえに、「言わなくても、わかっているつもり」とか「改めて言うのは水臭い」と考えがちで、経営理念を伝えるなどのステップを怠ってしまい、お互いの考え方や価値観のすり合わせがされていないことで、突然親子が激しくぶつかり亀裂が走ってしまうケースが多いと聞かされていましたが、まさにそのとおりです。
このことは、親子関係だけではなく、夫婦関係や上司と部下の関係など、あらゆる関係にもあてはまりそうです・・・・・。
私も数年前にスタッフから「先生がこれから目指している方向がどこなのかを知りたい!」と言われた時に、スタッフに自分の考え、目標、理念等を伝える努力をしなければと反省し、事業計画を共有したり、考えていることを文章で見える化し、積極的に発信したことで、事務所全体のベクトルが一致してきた気がします。
親子間の事業承継は、「家族会議」などを開催し、先代の思いを家族で共有し、事業承継計画表を作成するなど、見える化することが大切となります。
なお、この「事業承継計画表」 は中小企業庁が発行しているガイドラインでも記入例が示されています。思いを共有するために、事業承継までのステップを見える化してみてはいかがでしょうか?