今日、分譲地の売買による所有権移転登記の必要書類を事前にお預かりするため、売主である某企業の本社を訪れてきました。
事前にメールで送信しておいた書類に会社実印が押印されていることや、登記手続きに必要な権利証と印鑑証明書の通数に過不足がないことを、まずは確認しました。
ちなみに、所有権移転登記を行う際に添付する印鑑証明書には有効期限があり、発行日から3ケ月の期限となっています。そこで、引き続き印鑑証明書の発行日を確認したところ、ちょうど登記手続きを行う日に印鑑証明書が有効期限となるものが含まれておりました。
通常は発行日から1ケ月以内の印鑑証明書をお預かりするケースが大半なので、この3ケ月の有効期限を厳密に計算する場面は実務上あまり遭遇しませんが、この有効期限の期間計算を間違えてしまうと、場合によっては、売買代金を支払ったにもかかわらず買主が所有権を取得できないということになることもありうるので、しっかりとした計算方法を覚えておく必要があります。
例えば、本日(6月13日)発行した印鑑証明書は、所有権移転登記に添付する場合、いつまで有効期限となるかお分かりになりますでしょうか?
正解は、「9月13日」となります。
なんだ、単純に3ケ月をプラスすればいいだけじゃないか!・・・と思っていらっしゃるかもしれませんが、この有効期限を判断するために、いくつかの条文を利用しながら計算を行う必要があります。
例えば、民法第140条には、以下の規定が定められています。
第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
発行日である6月13日は期間計算をする際に含めるのか含まれないのかが規定されています。印鑑証明書の発行は午前零時から行われるものではないので、原則どおり初日不算入となります。
つまり、6月13日からではなく、6月14日が期間を計算するための初日となるわけです。
さらに、
第百四十三条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
3ケ月という月単位の期間の場合は、暦に従って計算をすることとなり、最後の月においてとなっているため、6月14日から3ケ月の期間の最後である9月が該当します。
さらに、起算日に応答する日の前日に満了になるため、起算日である14日の前日である13日、つまり9月13日で期間満了になるというわけです。
それでは、8月31日が発行日だった場合は11月は30日しかないため、どうなるのかや期間満了日が行政機関の休日に該当する場合はどうなるのかについて、明日続きを書いてみたいと思います。