未上場企業が市場から資金調達する方法として「IPO」という手法があります。
IPOとは、株式市場に新規に株式を公開することです。会社は株式公開に際して、新たに公募株式を発行することで市場から資金を得ることとなります。なお、既に新規公開の前から株式を所有している創業株主等が、株式公開に際して所有している株式を売ることを売出株式といいます。
つまり、
・公募株式→会社に資金が入る
・売出株式→株主に資金が入る
という違いがあります。未上場企業のままでは、会社としても資金調達を自由にすることができないですし、株主としても投下した資本を回収することが困難なため、未上場企業の不利益を解消するため、株式公開を目指すこととなります。
また、最近では仮想通貨技術を使った資金調達である「ICO」という手法が利用されることもあり、本日の日経で、仮想通貨取引所を運営するテックビューロが実施したICOによる資金調達額が43億円を超えたとの記事が掲載されておりました。
このICOは、企業が独自の「トークン」と呼ばれる仮想通貨を発行することで、投資家から資金調達を行います。
株式公開であるIPOは、投資家を保護するために、厳しい上場審査がありますし、監査法人にお願いしたり、内部体制を構築しなければならないなど、費用や時間もかかります。上場するために数千万円の費用と3年近い年数がかかります。
また、会社の所有者であることの証の株式を、市場に放出して第三者から資金調達することとなり、資金と引き換えに会社の所有持分を譲渡する側面もあるので、株主比率の変動によるリスクが会社に伴います。
一方、ICOはそのような規制はなく、制度の利用にハードルが低いこととや株式の変動がないため、開業して間もないベンチャー企業などでも安心して利用することができます。
しかしながら、その手軽に利用できる半面、一部では詐欺まがいの資金調達も見受けられるのも事実のようです。
今後、このICOを使った資金調達が正しい使われ方で増えていくこととなれば、未上場企業が資金調達する際の一つの選択肢になるのではと思っております。実際に今後ICOによる資金調達を希望している企業からの相談があり、実際のスキームを楽しみながら考えているところです。
実現するかはまだわかりませんが、最近の仮想通貨に関する動きは激しいものがあり、決済の流れを変えてしまう可能性を感じています。そういえば、同じ紙面に、サイバーエージェントが仮想通貨取引事業に参入するため、仮想通貨交換業者の登録をするための子会社を昨日設立した旨の記事も掲載されておりました。
仮想通貨が身近になる日も、そんな遠い将来ではなさそうです!