昨日は、ある方にご招待いただきまして、デトロイト交響楽団とピアニストの小曽根真さんのクラシックコンサートに行ってきました。
生まれてこのかた、子供の演奏会を除けば、クラシックコンサートを見に行くのも、プロの交響楽団の演奏を生で聴くのも初めての経験です。
優雅なひと時を過ごしながら、いろいろ考えたり刺激にもなりましたので、クラシックコンサートで感じたことについて書いてみたいと思います。
コンサートの席はアリーナ席を用意していただきましたので、オーケストラが目の前に見れるベストポジションに座ることができました。開演まで最後の調整で、演奏者がそれぞれ音出しをしておりましたが、開演時間になるとピタッと音がなくなり、独特の緊張感が空間を支配しました。
しばらくして、舞台袖から指揮者が現れると、会場から大きな拍手が沸き上がり、一瞬の静寂の時を経てから、演奏がスタートしました。
ホールの音響効果も相まってか、CDなどで聞く音とは異なり、胸の奥にズンっと入ってくるような圧倒される素晴らしい音色で、プロの演奏に見入ってしまいました。
しばらくして、ふと指揮者の動きに目がとまりました。
コンサート前は、指揮者は演奏することなく、ただ、棒をふっているだけで楽な立場だなあ・・・と思っていたのですが、実際に目の前で見ると自分の考えが間違っていたことに気づかされました。
すべての演奏者は指揮者に向かって座っているため、指揮者は一段高い指揮台から演奏者全員を見渡すことができます。演奏者全員を把握し、曲のポイントに応じてさりげなく的確な指示を出しています。
また、指揮者からは、なんとも言えないオーラが出ているのでしょうか・・。楽譜を見ながら演奏して指揮者の方をしっかりと見ているようには思えなかったのですが、演奏者にもその指示が伝わっているようで、指揮者の指示通り音を奏でているようです。
演奏者は、全員が指揮者の方を向いているため、他の演奏者の動きをすべて確認することはできません。ですから、唯一全体を見渡せる指揮者の指示を頼りに、音、テンポ、抑揚などを周りの奏者と合わせて演奏しているように感じました。
このようにオーケストラを見ていたら、オーケストラと指揮者は、会社でいう社員と経営者との関係にも似ているなと思いました。
オーケストラはいろいろんな演奏者が集まっています。バイオリン・チェロ・コントラバスの弦楽器を演奏する人、フルート・クラリネットの木管楽器を演奏する人、トロンボーン・ホルンの金管楽器、打楽器を演奏する人など、それぞれが自分の得意とする楽器を使って一つの曲目を演奏していきます。
一つの楽器でなく、複数の楽器で曲を奏でることで、それぞれの楽器の特徴の音がシンクロし、深みのある曲となっていきます。
仕事も同じです。同じことが得意な人が仕事場に集まっているわけではなく、それぞれが独自の強みを持っていて、チームワークで仕事を仕上げていきます。
つまり、それぞれが自分が得意の楽器(強み)を、同じ楽譜(理念・ミッション)で演奏し、それを指揮者(経営者)がそれぞれの楽器の特徴(長所)を最大限に生かすように演奏者(スタッフ)を指揮し、最高の音(サービス)を聴衆(お客様)に届けることと同じではないでしょうか?
指揮者は演奏が終わった後に、何度も何度も聴衆に向かって、演奏者の方を手を向けて、聴衆から演奏者への拍手を求めているシーンがありました。指揮者である自分でなく、演奏者に盛大な拍手を送って欲しいと言わんばかりのしぐさです。
そう考えると、指揮者が演奏者が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、いろんなことに神経を張り巡らせて調和させる役割を担っているので、指揮者のいないオーケストラでは、それぞれが好き勝手な演奏をすることで、結果として調和のとれない音にきっとなってしまうのでしょうね。
すべての演奏が終わっても、観客の拍手が鳴りやまないのを見ながら、指揮者というのは大事な役割を担っているのだと改めて感じさせられました。