いつもお世話になっている公認会計士の先生と私の会話です。
先生:「あれ、そういえばこの前出資をした会社の増資の登記手続ってもう終わったんだっけ?」
私:「先生、あの会社は合同会社で出資した額が資本金になっていないから登記が不要ですよ・・」
株式会社の増資をした場合、「2分の1を超えない額」については資本金として計上することなく、資本準備金とすることができます。
例えば、1000万円を増資した場合、「全額」を資本金とすることもできますし、資本金を「500万円」、資本準備金「500万円」とすることもできます。
(なお、資本金400万円・資本準備金600万円とすることはできません。増資した1000万円のうち2分の1を超える額が資本準備金とされているからです)
増資登記の申請手続きの際、「増資する資本金の額」に1000分の7という税率が登録免許税としてかかるため、節税のために半分を資本準備金とすることがあります。
増資する額が1000万円ではたいして差がありませんが、1億円を増資する場合、全額を資本金とする場合は、登録免許税が70万円、半分を資本準備金とした場合は35万円となりますので、35万円の節税となるからです。
一方、合同会社の場合は、株式会社と異なり半分を資本金とする制約がありません。また、株式会社と異なり、資本金として計上されなかった額については、資本準備金でなく資本剰余金として計上されることとなります。
つまり、1000万円を増資した場合に、
・全額1000万円を資本金
・資本金500万円、資本剰余金500万円
・全額1000万円を資本剰余金
のいずれも選択することもできます。
もちろん、資本金の額の計上についての制約がないため、資本金800万円、資本剰余金200万円として計上することも可能ですし、その逆もしかりです。
あくまで登記事項となるのは「資本金の額」のため、増資したとしても全額を「資本剰余金」とした場合は、資本金が増加しないため登記をする必要もありません。
よって、冒頭の会話のように、合同会社が増資をした場合で全額を資本剰余金とした場合は、登記の必要がないため、増資の手続きがされていないのでは?と感じてしまったというわけです。
正確には、増資の手続きはされていたものの、増資した額が資本金として計上されていなかったため、登記が不要な案件・・・ということでした。