昨日は、任意代理契約・任意後見契約・死後事務委任契約・公正証書遺言でお子様のいらっしゃらない一人暮らしの方の将来のサポートについて書きました。
その中で、問題となっていたのがお墓です。実家のお墓には、いろいろな事情で入りたくないとのご要望があり、ご自身でお墓を用意したとしても将来にわたって管理をしてくれる人はいないという現状がありました。
そこで、お客様が決断されたのが、海への散骨。つまり、お墓を持たず散骨をすれば、お墓の管理のことを考えずにすみます。
そこで、お客様がお亡くなりになられた後の各種事務を代理するための「死後事務委任契約」の中で、散骨をするという委任事務をお引き受けすることとなりました。
そもそも、散骨が適法がどうかがわからなかったため、厚生労働省に問合せをしてみました。すると、社会通念上相当な方法であれば特に法律で禁止されているというわけではないが、自治体によっては条例で禁止されているところもあるので、気をつけるように・・・という回答がありました。
そこで、お客様が散骨を希望されている海を管轄する自治体にも確認しましたが、特に禁止する条例はないとのことでしたので、散骨をすることが法的にも支障がないと判断し、事務を受託しました。
その後、お客様がお亡くなりになられ、生前に打ち合わせをしていたとおり、ご遺体のお引取り、安置所への搬送、葬儀など一連の流れを葬儀社の方と一緒に執り行わせていただきました。
火葬場の方には葬儀社の方から散骨を行う旨を伝えていただいておりましたので、火葬の後の遺骨を粉骨して粉状にしたうえで、渡してくれました。
後日、指定された海に散骨を行ってきました。フェリーなどから散骨をする方もいらっしゃるようですが、不特定多数の方がいらっしゃるので配慮が必要です。そのため、散骨のためにボートを出し海上まで連れて行ってくれる会社もあるので、海上での散骨を希望される方は、それらのサービスを利用されるのもいいかもしれません。
私のお客様は、特にお金をかける必要はないし、海はつながっているから・・ということで、海岸の近くで散骨を行い、船は利用しませんでした。
自宅の後片付けと残された荷物の処分も業者の方と一緒に行い、遺言にしたがって財産を分配し、お客様から依頼を受けていたすべての事務を終えることとなりました。
核家族化や少子化で、今後、このようなケースは増えてくると思いますし、お墓に対する考え方も変わってくるかもしれません。
何かご不安なことがありましたら、当事務所まで遠慮なくお問合せください。