一人オーナーの会社や家族しか株主がいない会社であれば問題はさほどないのですが、第三者の株主がいる場合、株主に連絡が取れない事態が生じることもあります。
例えば、旧商法時代は、設立時の株主である発起人が7名必要だった時期がありました。その時に株主として名前を借りたまま数十年経過して連絡が取れなくなってしまったとか、会社設立時に一部出資をしてもらった仲間と意見の相違から疎遠となり、手続きを放置していたところ、仲間の転居先がわからず連絡が取れなくなってしまったケースなどがあげられます。
会社から株主へ株主総会の招集通知を発送したり、催告が必要な場合、会社法126条1項で、株主名簿に記載又は記録した株主の住所(株主が会社に通知した場所や連絡先を含む)にあてて発すれば足りるとされています。
そして、その通知又は催告は、通常到達すべきであった時に「株主に到達したものとみなされます。」
よって、株主総会の招集通知をその住所に発送さえしていれば、実際に当該株主に届かず宛名不明で戻って来たとしても、有効な通知又は催告として扱われます。
さらに、所在不明で戻ってくるにもかかわらず、いつまでもその場所に通知を出し続けるのはコストと労力がかかるため、会社法196条において、5年以上継続して到達しない場合は、その株主に対する通知又は催告は、以後省略することができるようになります。
中小企業で、第三者株主に招集通知等を会社法の規定に基づいて通知する会社はそんなに多くはないと思いますが、所在不明の株主に通知又は催告を行っておくことで、会社にとってメリットとなる場合があります。
そのことについては明日お伝えしたいと思います。