私たちが役員変更の登記を受託させていただく際、通常はその手続きに必要な議事録も一緒に作成させていただきます。ただ、一部のお客様は、議事録をご自身の会社で作成され、登記だけをご依頼いただくという場合もあります。
その際に、誤って表現しがちな用語について書いてみたいと思います。
会社法では、役員を選ぶ際の表現として、「選任」と「選定」の2つの用語があります。
この違いですが、ある人を役職に選ぶ場合に、前提に何らの役職も必要でない場合は、「選任」という表現を使います。
取締役や監査役を選ぶ際は、その候補者に何らの前提となる役職が必要とならないため、「取締役選任の件」とか「監査役選任の件」というように、選任という用語を使って、議事録に議題を記載することになります。
一方、前提に何らかの役職が必要である場合は、「選定」という表現を使います。
代表取締役の候補者は、取締役であることが前提となります。つまり、取締役の役職であるものの中からさらに代表取締役という役職を追加することになるので、このような場合は、「代表取締役選定の件」というように、選定という用語を使って、議事録に記載することとなります。
(専務取締役・常務取締役などの役付取締役を定める場合も選定となります)
会社法でも明確に用語を使い分けしており、「選任」は会社法第329条で、「選定」は会社法362条2項3号において規定されております。
感が良い方はもうおわかりかと思いますが、選ぶ時に表現の違いがあるということは、役職から外す時も表現が異なるということになります。
ちなみに・・・・
「選任」に対応する用語は「解任」
「選定」に対応する用語は「解職」
となります。
ちょっとした用語の違いですが、議事録を作成する際に意識して作成していただくと、違いのわかる人として一目置かれるかもしれませんね!