ここ1ケ月で養子縁組に関するご相談やご依頼が立て続けにあり、今日もお電話での問い合わせがありました。
養子縁組は婚姻と同じように戸籍法のルールに基づいて届け出をすることで効力が生じます。養子縁組は、親子の血縁関係がない当事者間において、「法律上の親子関係」を成立させるための法律行為です。
つまり、養子縁組の届け出を行うことによって、その当事者間で親子関係成立の効果が発生することとなります。
それでは質問ですが、成年者である兄弟間で、兄を養親、弟を養子とする養子縁組を行うことは可能でしょうか・・・?
養子縁組は法律上の親子関係を成立させるための法律行為であるため、すでに兄弟という関係がある当事者間で養子縁組を行うことに違和感を感じられるかもしれませんが、正解は「YES」となります。
というのも、尊属(親族図で父母・祖父母など自分より上位に属する人)又は年長者(自分より年上の人)を養子にすることは民法で禁止されていますが、逆にいうと、尊属又は年長者でなければ養子縁組をすることができるので、兄が弟を養子縁組することは可能となります。
同じく、祖父が孫を養子にすることも、上記に反しないため可能となりますが、その逆であるパターン、つまり、弟が兄を養子又は孫が祖父を養子にすることは民法で禁止されているのですることはできません。
兄が弟を養子縁組しても兄弟関係が解消されるわけではないため、兄弟関係であると同時に養親子関係も成立することとなります。兄が結婚をしておらず、お子さんもいらっしゃらない場合、自分が亡くなった後の財産を継いでもらうために唯一の親族である弟を養子とする縁組がされることもあります。
「養子」という言葉にネガティブなイメージを持たれている方もいらっしゃいますし、届け出だけで親子関係が成立するという効果を悪用し、相続争いを有利に進めるための方法として利用されることもある一方で、いろんなお悩みを抱えていらっしゃる中で気楽に活用できる解決方法の一つとして選択されることもあります。
ただし、紙1枚の届け出だけで、法律上の親子関係を成立させる気軽さが仇となり、「こんなはずではなかった・・・」と後悔されないよう、縁組の際はお互いにの意向をよく理解したうえで、慎重に事を進めることは言うまでもありません。
当事務所では、家族会議などにも同席して、養子縁組にいたるプロセスに寄り添った支援も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください!