本日は午前中に遺言のご依頼、午後は財産分与に関するご依頼がありました。
離婚をする際、一方の当事者から相手方に支払われるものとして、「財産分与」と「慰謝料」があります。
財産分与は、婚姻中に夫婦が協力して築き上げてきた財産を離婚に伴って分けることをいい、慰謝料は離婚の原因をつくった当事者が相手方への精神的苦痛に対する賠償金として支払いがされます。
私どもが離婚に伴う手続きでお手伝いさせていただくのは、財産分与によって自宅の名義を変更して欲しいというご依頼が一般的です。
財産分与を行う場合、当事者の協議によって行う場合と、調停・審判・訴訟の裁判上の離婚に伴って行われる2つの方法があります。ちなみに、離婚が成立した後にも財産分与を請求することができますが、離婚成立後2年以内に請求しなければならないので注意が必要です。
この2つの方法の違いは、名義変更を行う際の登記手続きの添付書面に違いがあらわれてきます。
協議による場合の名義変更手続きは、両当事者が協力して行う必要があります。具体的には・・・・
【不動産を渡す人】
・登記識別情報(又は権利証)
・印鑑証明書
・実印
【不動産をもらう人】
・住民票
・認印可
となり、お互いが名義変更の手続きに協力する必要があります。
なお、協議で手続きを行う場合、離婚届を出す前に、登記手続きに必要な書類が揃っているか司法書士に確認してもらって届出をだすほうが好ましいと思います。
というのも、離婚届を提出して離婚が成立してしまった場合、お互い全くの他人となってしまいますから、手続きに協力してくれなくなってしまったり、行方がわからなくなってしまったりすることがあり、名義変更の手続きを行うことができなくなるリスクがあるからです。
一方、裁判上の離婚で財産分与を行う場合には、その判決や調書の内容に登記手続きを行う旨の記載があれば、不動産を渡す人の書類や手続きに協力してもらうことなく名義変更をすることができます。
例えば調停調書で単独で申請するには、「相手方は、申立人に対し、本件離婚に伴う財産分与として、本日、別紙物件目録記載の不動産を譲渡することとし、本日付財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする。」といった内容が記載されていれば、その調書と不動産をもらう人だけの書類で手続きを行うことができます。
注意しなければならないのが、「申立人と相手方は協力して所有権移転登記をする。」といった記載になってしまうと、協議によって財産分与が成立した場合と同様、相手方の必要書類と手続きへの協力が必要となってしまいます。
特に専門家の関与なしに手続きを行っている方は、財産分与の内容だけでなく分与の手続きが単独で簡便に行うことができる条項が入っているのかによって、手続きが異なってしまうことにお気をつけください。