今日の午前中は、ある高齢者施設へお客様のご本人確認と意思確認に行ってきました。
ご親族で話し合いをした結果、お客様が所有する不動産を売却する方向となったため、手続きを進めてもいいのかご本人の意向を確認するためです。
不動産を売却することについては、ご親族からお客様に事前にお話をしていただいており、最終的な確認としての立会だったのですが、お話をさせていただいた結果売却する意思が確認できず、残念ながら手続きを進める判断にはいたりませんでした。
このような場合、お客様が入所している施設の支払い等が困難であるために不動産を売却するような事情があれば、成年後見制度を利用して家庭裁判所で成年後見人を選任してもらい、不動産を売却することも検討するのですが、今回はそのような特別な事情はなく、不動産を売却するためだけに成年後見制度を利用することがかえってご親族のご負担になると判断しました。
今回のお客様のご親族は、非常にご理解のある方々でしたし、不動産の売却が必須ではなかったため今後の方針を共有して、売却を先送りする決断となりましたが、案件によってはかなりのプレッシャーを感じることもあります。
例えば、売主である高齢のお客様とお会いさせていただいた結果、売却する意思が確認できない・・と私どもで判断した場合、案件を取り纏めている不動産会社やご親族の方から、「先生に迷惑をかけないからなんとかなりませんか!」と懇願されることがあります。
さらに、所有者であるお客様の推定相続人全員が不動産の売却に同意している場合などは、「相続人である私たちが全員同意しており、取引に異議を申し立てる可能性がないにもかかわらず、なぜ取引をすすめられないのか・・」と詰め寄られることもあります。
売却を急ぐ事情がある場合は、成年後見制度の利用も選択肢には入らなくなってきますし、ご親族のお気持ちも痛いほどわかるので、ギリギリの判断を迫られるなど非常に悩ましい問題となってきます。
何度もお伝えさせていただいておりますが、やはり認知症対策というのは早め早めに行っておくことが大切だということを今日の出来事でも改めて感じた次第です・・。