契約書を締結するとき、遺産分割協議書に押印するとき、公証役場で遺言書を作成する場面で、「実印」の押印を求められることがあります。
一方で、上記のような重要な書類ではない場合に、「印鑑は認め印でいいですよ!」と言われることもあります。
それでは、この実印と認め印の違いって何なのでしょうか?
一言でいえば、役所に印鑑登録をしてある印鑑が「実印」、それ以外の印鑑のことを「認め印」となります。印鑑登録をすると、その印影が印鑑証明書に記載されることとなります。
よって、結果的には印鑑証明書上の印鑑が実印ということになります。
お客様の中には、100円ショップなどで購入してきた安い印鑑が認め印で、象牙などの高級な印鑑が実印と勘違いされている方が今までがいらっしゃいました。
ある時、公証役場で遺言をする際に、お客様に実印をお持ちくださるようアナウンスしていたのですが、当日お持ちいただいた印鑑が印鑑証明書と異なる印鑑だったため、「実印はどうされたんですか?」と尋ねたところ、印鑑証明書と異なる印鑑を指さして、「これが実印です!」と・・・・。
つまり、印鑑証明書の印鑑=実印ではなく、高価な印鑑=実印と誤解をされていらっしゃったようなのです。
誰もがどこでも購入して利用できる認め印と異なり、実印は役所に印鑑登録された印鑑であり、登録した印鑑は本人が管理することになります。よって、契約書等に実印が押印されているということは、本人が押印したであろう・・ということが証明されるため、認め印よりも証明力が強くなるということになります。
逆にいうと、それだけ証明力が強い印鑑となりますので、実印の保管・管理については、くれぐれもお気をつけください!