事務所に配属される研修生との最初の面談で、「司法書士として、今後のビジョンはどう考えてますか?」と尋ねさせていただくことがあります。
試験に受かることが目標でやってきた研修生などは、将来のことは全く考えていません・・・との答えが返ってくることも多々あります。本来であれば、司法書士としてこういうことをしたいから、司法書士を目指した!というのが正解なのでしょうが、試験に合格しなければ司法書士にはなれないので、試験合格が目標になってしまうこともやむを得ないと思います。
かくいう私もそうでしたので・・・。
一方で、試験勉強で学んである程度のことは出来るので、研修が終わったらすぐに独立したいと思ってます・・・と、実務をほとんど行うことなく試験勉強の知識だけで、仕事をこなすことができると考えている研修生もいます。
もちろん、本人に自信があれば反対する理由はありませんが、その際にはよく自動車教習所を例にして、自動車教習所で一年間朝から晩まで運転に関する知識を学んだとしてすぐに実際に運転はできると思う?・・・と尋ねるようにしています。
教習所の例では、運転に関する知識を学ぶこと=試験勉強、実際に運転=実務にあたるのではないかと思います。ご承知のとおり、いくら勉強しても実際に車に乗ってハンドルを握らなければ、いつまで立っても運転することはできません。
縁石に乗り上げたり、ポールにぶつけたりを繰り返しながら、車を運転することを覚えていきますよね。
スポーツでも同じです。
スキーの初心者が、スキーが上手に滑れる方法やそれらを解説しているDVDを朝から晩まで繰り返し見ても、実際にスキー板を履いてゲレンデで滑らなければ、決して上達することはないと思っています。
何度も何度も転んで、実際に体験することで技術を習得していくわけです。
研修においては知識を教えるのではなく、初日から実際の案件に携わってもらってます。もちろん、何度も何度も間違えてしまうのですが、間違えを繰り返すことで実務で気をつけるべきポイントが自然と身につくようになります。
ということで、独立しなければ学べないことが多いのも事実ですが、実務を行わずに独立を考えている研修生に対しては、実務を行わずに独立するということは、どういうことなのかを知ってもらうようにしています。
試験勉強と実務は、「似て非なるもの」なのです・・・。