司法書士事務所で働きながら受験勉強をすることは、受験に専念している受験生と比べて、時間の面で不利になると思われがちです。果たしてそうなのでしょうか?
私の周りを見渡しても、働きながら短期合格している人も多くいます。そこで、司法書士事務所で働きながら短期合格するポイントをお伝えしたいと思います。
まずはじめに意識したいポイントは、勤務時間を勉強時間にしてしまいましょう!ということです。もちろん、勤務時間中に仕事をしないで、テキストを見ながら勉強しましょう!ということではありません。そんなことをしたら、明日から自分の机はなくなってしまいます(笑)
そうではなく、一つ一つの仕事を行う際も、常に受験勉強のアンテナを立てて、貪欲に知識を吸収しましょうということです。
例えば、お客様から謄本取得の依頼があった際、単に取得して終わりではなく、「謄本を隅々まで見て勉強しましょう!」ということです。謄本取得の依頼のときだけでなく、司法書士事務所で勤務していれば、毎日何度も謄本を見る機会があります。
謄本には、その不動産に関するデータがすべて記録されています。その謄本を、目に触れるたびに熟読することで、受験勉強で学ぶ知識を実案件の謄本の記録を通じて学ぶことができるわけです。
1日数回、謄本を読んで考える習慣を行うことで、1ケ月、3ケ月、半年、1年・・・と、そのような習慣がない人との当初の微差が、年数が経過すればするほど、大きな差となって現れてきます。
この習慣は合格してからも非常に役に立ちます。というのも、私たちは不動産取引に関する登記手続きを行いますが、現地にいってその不動産を調査するということはしません。つまり、現地を確認することなく、不動産という一生に何度もない高額な不動産取引の手続きを行うという重責を担っております。ということは、少なくとも謄本を熟読してその不動産の今までのストーリーが頭の中にイメージできるまで落とし込まれている必要があります。また、ストーリーをイメージする際に違和感を感じることで、不動産取引の犯罪に巻き込まれることを防止することができます。
毎日謄本を見続けていると、自然と頭の中にいろいろなパターンがインプットされてくるため、ちょっとした異変にすぐ気づくことができます。うまく表現できないのですが、一見してその異変の箇所が光ってみえるような感じでしょうか?
宝石鑑定やブランド品の鑑定をされている方が、日々持ち込まれる商品を鑑定することで、正規品でない偽物のちょっとした違いに気づくことができる感覚と似ていると思います。
受験のテキストはお金を出して購入しなければなりませんが、事務所で取得した謄本は生きた素材ですし、見るのもタダですからこれを使って勉強しない手はありません。
また、テキストと違って実案件のため、「○○さんの取引をした際の謄本に記載されていた特殊な登記だった」とか「○○会社の会社の謄本に種類株式が発行されていて、内容はこうだった」など、記憶に残りやすいという特徴もあります。
司法書士事務所の中で、謄本取得の仕事は雑用と思われがちです。しかしながら、この謄本取得を雑用と思うのか、受験に役立つ知識の宝庫と意識するかで、短期合格できるかどうかの大きな分かれ道になるのではないでしょうか?