登記手続きが必要となる場合、専門家である司法書士に依頼するケースが多いと思います。
ただ、住宅ローンの返済に伴う抹消手続きなどは、書式等をネットでダウンロードして、ご自身で手続きをされる方もいらっしゃいます。法務局には、そのような一般の方向けの相談窓口があり、住宅ローン返済の書類を持参されて、手続きの方法について職員に相談されていらっしゃる方をお見かけします。
住宅ローンを借りるときは、金融機関側で司法書士を選任して設定手続きの段取りをしてくれるのですが、返済が終わった後の抹消手続きについては、金融機関も専門家の紹介などを積極的に行っていないため、どこに相談していいかわからずにやむなく法務局に手続きを相談されたという方や、勉強のために自分で調べて手続きに挑戦してみよう・・という方など、本人申請で行う理由は様々だと思います。
その際、1点気をつけていただきたいポイントがあります。
それは、登記をした時の住所が現在の住所と一緒しているかどうかということです。というのも、登記は住所と氏名が一致して同一人と判断されるからです。
例えば住宅ローンの手続きをした時が引っ越し前の住所である場合、所有者としての住所は旧住所で登記がされます。
その後引っ越しをされて、ご新居の住所へ住民票を移転することとなりますが、市役所のデータと法務局の不動産のデータは連動していないため、住所移転の手続きを市役所だけでなく法務局においても住所変更の手続きをする必要があります。
経験上、ほとんどの方が登記上の住所移転の手続きを一緒にされないため、住民票上の住所と登記上の住所が乖離しているという現象がおきています。
そのような場合に、住宅ローンの返済が終わってご自身で抹消手続きの申請を行う場合に、登記上の住所の変更手続きを行うことなく、現在住んでいる住所で抹消手続きの申請を行うと、同一人ではないと判断されて登記の申請を取り下げなければならないことになってしまいます。
また、住宅ローンの手続きの際に新住所で登記した場合であっても注意が必要です。というのも、引っ越しをしたわけでもないのに、住所の表記が変わることがあるからです。
住居表示実施といって、〇〇〇番地→〇丁目〇番〇号へ表記が変わる場合があります。このような場合も、その旨の手続きを一緒にしなければ、やはり抹消手続きをすることができません。
よって、ご自身で抹消登記をされる場合は、まず現在の登記の記録がどのようになっているのか確認をしていただいたうえで、抹消手続の申請書を作成されることをおススメします!