セミナーやテレビなどで、気軽にかける自筆証書遺言のことを知って、実際に作成した方もいらっしゃるかと思います。
公証役場で作成する公正証書遺言と異なり、費用もかからず証人2名を立てる必要がないので、思い立ったときに作成できることが、自筆証書遺言のメリットとなります。
一方で、専門家が関与しないため、実際に自筆証書遺言で手続きを行うときになって、自筆証書の要件を満たしておらず、遺言としての効力がなかった・・・ということが起こる可能性があります。
そこで、これから自筆証書遺言を作成しようとお考えの方へ、絶対落としてはいけない大事なポイント3つをお伝えします。
まずは、遺言者本人が全文を自書する必要があります。パソコンで内容を作成し署名だけ自書したり、ご家族の方が変わりに代筆することはできません。
高齢の方にとって全文を自書するということは大変な作業になってくると思いますが、一気に書き上げようとせずに、時間をかけいろいろと考えながら、残される大事なご家族へのメッセージと思って、気楽に書いていただくのがいいのではと思います。
次に、遺言書を作成した日付を記載する必要があります。今までも、日付の記載のない自筆証書遺言を何回か見かけたことがありますので、注意が必要です。
遺言は何回でも書き換えができます。複数の遺言書が出てきた場合、内容が抵触する内容については、最新の日付の遺言書が有効となります。
たとえば、長男に自宅を相続させる遺言と長女に自宅を相続させる遺言が出てきた場合、日付が新しい方の遺言書が有効となります。また、長男に自宅を相続させる遺言と長女にアパートを相続させる遺言のように、内容が抵触しない場合は両方の遺言書が有効となります。
このように、日付はどの遺言書が有効なのかを判断する大事な要素となっておりますので、日付がない自筆証書遺言は無効となってしまいます。
最後の要件ですが、遺言書に遺言者の署名と押印が必要になります。印鑑の種類については、特に法律では定められておりませんが、実印で押印したほうが好ましいと思います。
遺言書を作成した後、よく内容を確認して、誤字脱字がないかチェックをし、問題がなければ封筒に遺言書を入れて、封印をしておきましょう。なお、自筆証書遺言は、公正証書遺言と異なり検認という手続きを経ないといけないため、相続人が誤って検認手続き前に開封をしてしまわないように、「開封せずに家庭裁判所に提出すること」と書いておくのが無難です。
自筆証書遺言のデメリットとして、原本が1つしかないため紛失のリスクがあることやそもそも遺言の存在に気づいてもらえない・・・ということもありますので、財産を相続させる相続人に遺言書の存在を知らせておくのもいいと思います。
せっかくの遺言書が無効とならないように、上記の点にはご注意いただければと思います。自筆証書を作成したいと思っていらっしゃるお客様のサポートもいたしておりますので、お気軽にお問い合わせください。