キュレーションサイト問題で、ガバナンス(企業統治)の見直しをしていたディーエヌエーが、内部統制強化の発表をしました。
キュレーションサイトとは、インターネット上にある情報を、「テーマ別」にまとめたサイトのことです。
グルメ、ファッションなど、テーマ別の専門的な情報が集約されており、読者はそのサイトから得られる情報を参考にしています。そのようなサイトで、不適切は方法で広告収入を得ていたことや記事の信用性に問題が発覚し、特に医療系のサイトで問題となりました。
会社の組織体制に原因があったとのことで、トップマネジネントの強化をするために、代表取締役を1名体制から代表取締役社長と代表取締役会長の2名体制への変更となりました。つまり、1名の代表取締役が暴走するのを防ぐために、社長と会長の合議で行うことを原則とするようです。
なお、従前、取締役会の議長は社長が務めてきたのですが、取締役会の監督機能の強化のために、議長を社長に固定するのではなく、取締役会で議長を選定することが可能となる定款変更を次回の株主総会に付議することにもなったようです。
ちなみに、中小企業においては、代表取締役が1名の会社が大半です。しかしながら、最近では、代表取締役を2名にしておくことの必要性をお客様にお伝えし、実際に1名から2名に変更した会社もあります。
とくに身内の方が、後継者として跡継ぎとなる場合で、現社長が高齢の場合、代表取締役を2名登記しておくことで、万一の際にリスクヘッジできる場合があります。
というのも、中小企業の大半は、現社長が株主兼代表取締役・・・という形態となっている会社が多く、現社長が認知症となったり、倒れてしまって意識不明の状態となってしまった場合は、最悪、会社が機能しなくなる事態が乗じることもあります。
そのような状態になってしまうと、株を譲渡したり、株主総会で決議をしたり、契約行為が一切出来なくなってしまうからです。
このような場合に、後継者が2番目の代表取締役として就任していれば、株主としての地位はともかく、銀行から借り入れをしたり、取引先と契約をしたりと、会社の業務執行を引き続き行うことができます。
ディー・エヌ・エーのように代表取締役を2名体制にし、社長と会長という肩書きをつけるのではなく、そもそも代表取締役社長を2名としている上場会社もあります。【ユーザーベースHP】
今までと異なり、ビジネスの多角化やグローバル化で、1人のカリスマ経営者が会社を引っ張るより、価値観を共有したメンバーで知恵を出し合った方がいいとの考えのようです。
以上のように、時代の環境変化とともに、代表取締役は1名との固定概念で考えるのではなく、ビジネスの発展のため、ガバナンスの強化のため、万一のリスクヘッジのために、複数の代表取締役の体制を考えてみてもいいかもしれませんね。